大森南朋、派遣切りのニュースに「不安で、不安で……」
国内外で高い評価を得たテレビドラマ「ハゲタカ」が映画化され、完成披露会見と試写会が11日、都内で行われた。主演の大森南朋、栗山千明、柴田恭兵、中尾彬といったドラマから続投のレギュラー陣に加え、映画版のキーパーソンとなる玉山鉄二、遠藤憲一、高良健吾ら、豪華出演者が勢ぞろいした。
2007年にNHKで放送され、企業買収という斬新なテーマで話題を呼んだ「ハゲタカ」。映画版でも、意欲的に現在の日本の情勢を取り入れて脚本が作られた。主役の天才ファンドマネージャー・鷲津政彦を演じた大森は、「昨年、派遣切りのニュースが流れたときには『また台本が変わるんだろうな』と思って、年末を過ごしました。年が明けたら、やはり変わると聞いて、いつ終わるのかと不安で、不安で……」と打ち明けた。ドラマから引き続き出演している中尾も「テレビのときから芝居とは思わず、ドキュメンタリーだと思ってやっていた。それは映画でも同じ」と言うように、虚構の枠を超え、リアルに現代を切り取った作品に仕上がった。
専門用語が飛び交う難しいセリフには、キャスト全員が苦労したという。「もし映画の続編ができるなら、どんなストーリー、もしくは役柄がいいか」という質問に対し、最初に答えた大森が「できればセリフは少なめで」と言えば、遠藤も「無言の、どこかの国の大金持ち。一言もしゃべらない役」と続けた。さらに「まったくセリフはなく、目線で語るような役。無声映画ですね」と中尾、「梅干しをしゃぶっているだけ……とか」と柴田らベテラン勢を含む、誰もがセリフのある役を辞退。今回の現場での苦難をのぞかせた。
主演の大森にとっては「僕の人生を変えた」というほどの作品。それだけ思い入れは強く、完成披露試写会の舞台あいさつでは「これがヒットしなかったら、また僕の人生が悪い方に変わってしまう可能性があるので、よろしくお願いします」と会場に集まった映画『ハゲタカ』ファンに、応援を要請していた。
映画『ハゲタカ』は6月6日より全国東宝系にて全国公開