『天使と悪魔』、早くも『スター・トレック』をけ落とし、全米第1位に!-5月18日版
全米ボックスオフィス考
ダン・ブラウン著の世界的ベストセラーを映画化した映画『天使と悪魔』が、先週第1位になったばかりの映画『スター・トレック』を早くも首位から引きずり降ろし、全米ナンバーワン映画に輝いた。(1ドル100円計算)
トム・ハンクス演じる、ロバート・ラングドンシリーズの第2弾である『天使と悪魔』は、5月15日より、アメリカの3,527館7,000スクリーンにて大型公開され、興行収入4,800万ドル(約48億円)を収めた。この成績は、2006年に世界的大ヒットを記録したシリーズ第1弾の映画『ダ・ヴィンチ・コード』の初公開ウイークエンド興行成績7,710万ドル(約77億1,000万円)を超えることはできなかったものの、映画の原作となった小説「天使と悪魔」自体が小説「ダ・ヴィンチ・コード」の売り上げの半分以下だった事実を考えれば、『天使と悪魔』の売り上げが『ダ・ヴィンチ・コード』の約62パーセントだったということは、上々の出来といえるかもしれない(ちなみに、小説の『天使と悪魔』は、『ダ・ヴィンチ・コード』よりも前に執筆された作品である)。
『天使と悪魔』は、『ダ・ヴィンチ・コード』『ハンニバル』『レッド・ドラゴン』などと同様に“アダルト・スリラー”というジャンルであるが、そのジャンル名の通り、同作品を観に来た50パーセントの観客は30歳以上というアンケート結果が、配給会社であるソニー・ピクチャーズより発表されている。今週のランキングで、順位的には第2位になってしまったものの、新『スター・トレック』はデビュー2週目にして4,300万ドル(約43億円)という素晴らしい成績を収めた。先週のデビュー成績に比べると43パーセント売り上げがダウンしてしまったが、去年の同系統映画であった映画『アイアンマン』に比べて、その下降率は低めだったという統計が出ている。
『スター・トレック』をすでに観た映画ファンたちの話を聞くと、1回目は普通のシアターで観てから2回目をIMAXで……という人たちが結構いて、すでに業界で発表されているもろもろの数字も考慮に入れてみても、持久力があると思われる『スター・トレック』は、夏の超大作首位攻防戦が続く中、引き続きかなりの数字をたたき出す可能性を秘めている。
第3位にダウンしてしまったのは映画『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』で1,470万ドル(約14億7,000万円)の興行収入。とはいえ、ほかの『X-MEN』シリーズのデビュー3週目の成績に比べると、この降下率は低く、封切り後17日間の総合売り上げは、1億5,110万ドル(約151億1,000万円)となっている。上位から下降すると思われた、映画『ゴースト・オブ・ガールフレンズ・パスト』(原題)は、665万ドル(約6億6,500万円)の売り上げで第4位にとどまり、底力を見せた。ビヨンセ主演の映画『オブセスト』(原題)もかろうじてトップ5内にとどまり、455万ドル(4億5,500万円)の売り上げ。チャート順位が目まぐるしく変化する最近にしては、中々の成績といえる。
さて、今週末アメリカはメモリアル・デー・ウイークエンドと呼ばれる大型連休の週末だ。夏のかき入れどきにあたるこのウイークエンドは、往々にして通常の金曜日封切りよりも、ひと足お先に木曜日から公開される超大作が多い。次回チャート争いにおいて断トツのナンバーワン候補である、映画『ターミネーター4』もその一本だ。
映画『チャーリーズ・エンジェル』シリーズで大ヒットを立て続けにかました後、映画『スーパーマン リターンズ』を健康上の理由で急きょ降板したマックG監督が、ハリウッド第一線へのカムバックを懸けている超大作だ。主人公ジョン・コナー役にクリスチャン・ベイルを迎え、元祖ターミネーターのアーノルド・シュワルツェネッガーもゲスト出演。アメリカの劇場が満員御礼になるのは必至である。
泣く子も黙るターミネーターにお笑いで勝負を挑むのは、ベン・スティラー主演のシリーズ第2弾の映画『ナイト ミュージアム2』だ。
かなりのバイオレンス・シーンが予想される、PG-13指定の『ターミネーター4』を観に行けない年少映画ファンが、保護者とともに『ナイト ミュージアム2』に流れる可能性が濃厚で、し烈な争いが予想される。(取材・文:神津明美 / Addie Akemi Kohzu)