押井守監督VS.チョン・ジヒョン対談実現!押井監督、萌えぎみで次回作オファー!
映画『ラスト・ブラッド』に主演する韓国人女優チョン・ジヒョンと日本アニメ界の巨匠、押井守監督がこのほど東京・三鷹市内で初対談した。
原作アニメ「BLOOD THE LAST VAMPIRE」に企画協力した押井監督が、本作を鑑賞しジヒョンの熱演にほれ込んで“ラブコール”。映画『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』など押井監督の大ファンだったジヒョンは快諾。異例の2ショット対談が実現した。
本作は、オニと人間のハーフの少女サヤが、人類滅亡を企むオニ一族と戦うサバイバルアクション。27歳のジヒョンはセーラー服姿で日本刀を武器に戦う運命を背負った孤独な少女を熱演し、アクションに本格初挑戦してほぼノンスタントでオニ100人斬りなど壮絶な戦闘シーンをこなしきった。
初対面の第一声で、押井監督は「スクリーンで観るより大きいな」。ジヒョンは「思い描いていた通り、まさに作家という言葉がふさわしい方ですね」と早くも師弟ムード。
■アニメが原作のヒロインの面白さと難しさ
チョン・ジヒョン:「原作アニメを観てサヤがすごく魅力的だと感じ、アニメを土台に演じることに、とても興味をそそられました」
押井監督:「実は『BLOOD~』を実写で撮るシミュレーションは自分の中で何度もしていたんだよね、日本の女優さんで誰がいいかな? とか。でも今回ベストなキャスティングだった。サヤは変わったキャラクター。実年齢と外見が一致しない。(ある年齢で止まったまま)長く生きていて、外見のキャラクターのイメージと内面にギャップがある。アニメなら何でもできるけど生身の女優さんが演じるとなると、かなりハードルが高く、アクション以前に役作りが難しい。ジヒョンさんは、アニメに描かれたサヤを演じようとしたことがよかったんだと思う。日本でも今、マンガを原作に映画がたくさん作られていて、役者さんによっては原作のイメージと違う役を作る。それは必ずしも成功しないんです。ビジュアルでキャラクターを作ることは大事で、サヤにとって一番大事なのは表情。ジヒョンさんはいい表情をしている! まるで違和感がなかった」
チョン・ジヒョン:「ありがとうございます。撮影前にお会いして今のお話をうかがって撮影に臨むことができたら、もっとよかったなと(笑)」
■アクションシーンでの苦労は?
押井監督:「日本刀を持ったのは初めて?」
チョン・ジヒョン:「はい」
押井監督:「だとしたら大したものだよ。女優さんが剣を振るって結構大変なんですよ。ひと振りするのは難しくないけど、流れを演じるのは大変。振った瞬間、剣が流れちゃう。ジヒョンさんは全身を使って体ごと剣を振っていたのがよかった。一番大事なのは剣を持ち、形になっているか、次にどう変化するかの予感がするポーズかどうか。あとは目です、どこを見ているか。そういう意味でアクションをやっているときの表情がつながっていて、とてもよかった。小雪さん(オニ一族の最凶のオニ、オニゲン役)との対決シーン、あそこ、よかったね。夜の街で盛大に斬っていて、サヤが一番テンションが高くなっている。ジヒョンさんの方が魅力的だったね」
チョン・ジヒョン:「今回、アクションをしながら感情表現が出来る女優になろうと思って臨みましたが、やってみたら本当に難しかった。アクションをやっていると何かを表現しようとする余裕がないんです。サヤはアクションの名手で、いとも簡単にやってみせますが、そこが難しい。それにオニゲンとの対決でテンションが最高潮に達するアクションの強度の高まりを表現するのも難しかったんです。お褒めの言葉をいただいて本当にありがたいです」
■女優ジヒョンの可能性
押井監督「アニメーションのキャラクターは、生身の人間が持つ表情の奥行きがでない。アニメーションの仕事をやっていて物足りなく感じるのはそこ。生身の女優さんにはそれを期待したい。今回の作品を観てジヒョンさんとは一緒に仕事をしてみたいと思いましたね。魅力は表情に尽きる、多分もっといろいろなことがやれる人だと思う」
チョン・ジヒョン:「とてもうれしいです。もっとアクションの勉強をしないと、という気持ちになります」
押井監督:「スポーツは何かやっている?」
チョン・ジヒョン:「運動は全般的に何でも好きで、最近は毎日運動をしています。少し運動神経はある方なのかな? と」
押井監督:「うん、あると思うよ」
■これから映画を観るファンへ
押井「僕らが作った『BLOOD~』とは違うサヤの存在感。そこを見てほしい。あとはジヒョンさん主演で今度は僕が監督を務めて2本目を作るために、ぜひ当たってほしい(笑)。ヨーロッパで撮りたいね、ポーランドが作品に合っていると思う」
チョン・ジヒョン:「えっ!? ありがとうございます」
チョン・ジヒョンはアクション女優修業に励む決意をのぞかせ、押井監督はチョン・ジヒョンのサヤに太鼓判を押し、萌え気味だった。二人のコラボは近々実現しそう!?
映画『ラスト・ブラッド』は全国公開中