ハリウッド、究極のリメイク・ラッシュは世界的な不況から?
現在ハリウッド映画界は、すさまじい勢いでリメイク映画の製作ラッシュに見舞われている。1985年に公開されたクリス・サランドンのヒット作映画『フライトナイト』がドリームワークスで、そしてミッキー・ロークとロバート・デ・ニーロの1987年度の大ヒット映画『エンゼル・ハート』、1993年のシルヴェスター・スタローンのヒット映画『クリフハンガー』、アーノルド・シュワルツェネッガーの名作、1982年の映画『コナン・ザ・グレート』、そして何と1970年代の映画『ピラニア』に至るまでリメイク・ハリケーンが吹き荒れている。
映画『スター・トレック』がアメリカで公開されて大ヒットを記録しているのは、業界内外で大きなニュースとなっているが、とにかくこのところ耳にする製作決定の話といえば、十中八九の割合で昔のヒット作のリメイクといっても過言ではない。
2010年に、アメリカで公開予定の『クリフハンガー』のリメイクを今週に入って決定したオリジナルの『クリフハンガー』の製作責任者のニール・H・モリッツ氏によると、映画制作のスポンサーとなるスタジオ側が撮影のGoサインを出す決断の大きな引き金となったのは、現在公開中で大ヒットを記録している新『スター・トレック』の成功にあるという。
『クリフハンガー』の例を見ても理解できるように、ここのところ前代未聞の勢いで起きているハリウッドのリメイクラッシュは、アメリカが引き金となったこれまた前代未聞の世界的経済危機に比例している。
映画作りも、もとを正せば、巨額のお金が動くビジネスである。映画の製作資金を投資として出資する側にしてみれば明日をも知れないような世界的不況の中で、未知の作品にお金を費やしてイチかバチかでギャンブルするよりは、安全パイを取って以前成功歴を残しているお墨付きの作品に投資したほうが取り分は少ないかもしれないが損をする可能性は減るわけだ。
このようにある意味で芸術とは何の関係もない歴然とした投資術から派生している現在のハリウッドのリメイク・ラッシュだが、業界内外ではアメリカ映画のマンネリ化とフレッシュ度の喪失が懸念されている。世界経済の心配をするのは金融界のみにとどまらず、どうやら映画ファンとしても懸念しなければならなそうだ。