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松本人志『大日本人』アメリカで意外な好評価!1館あたりの売上げは『X-MEN ZERO』ばり!

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「アメリカ人の僕でも楽しめたよ!」-『大日本人』のポスターの前で観客のジョンさんとジェフリーさん
「アメリカ人の僕でも楽しめたよ!」-『大日本人』のポスターの前で観客のジョンさんとジェフリーさん - Photo:Nobuhiro Hosoki

 第60回カンヌ国際映画祭の監督週間に出品し、日本でも11億6,000万円の興行収入を得た松本人志監督の映画『大日本人』が、ついに映画の本場アメリカで5月15日から公開された。今回、彼の監督デビュー作となったこの映画のアメリカの反応を、観客、批評家、興行、そして配給会社の広報のコメントを合わせて紹介する。

映画『大日本人』

 Rottentomatoes.com(アメリカの批評家の記事が載せてあるサイト)でアメリカの批評家の反応で見ると、21人中16人がお勧めの作品として評価しており、その比率は100パーセント中76パーセントと、基本的に75パーセント以上が高い評価とされるこの批評家のサイトでは、まずまずの評価がされている。その中の一つ、ニューヨーク・タイムズの批評家ネイサン・リーによると「この映画のスペシャルエフェクト(特撮)は、松本氏のおかしいくらい抑制された演技と、喜劇的な簡潔の力、そして映画の中で非現実的に膨らまされたモンスターによるものだ」と語っているくらい高い評価をしていて、この作品をモキュメンタリー(ドキュメンタリーをこっけいなアプローチで撮った作品)としている。

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 公開劇場数はわずか2館だが最初の週で7,133ドル(約71万3,300円)を記録し、映画館の1館あたりの平均売り上げは3,567ドル(約35万6,700円)となり、映画『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』の平均を少し下回る程度の平均売り上げ(3,777ドル(約37万7,700円)となっている。

 実際に観客の目にはどうとらえられているのだろうか。ニューヨークの映画館シネマ・ビレッジの観客の一人でフィルムメーカーもしているジョン・ベントリーさんに聞いてみると「(劇中)数多く登場するユーモアは、日本人だと理解しやすいと思うものばかりだけれど、アメリカ人の僕でも全体的に結構楽しめたよ。アイデアが奇抜だね。モンスター(獣と呼ばれる巨大生物)はすごく変わっていて、これまでの日本の歴史上のモンスターを手玉に取ってるようで、そこが監督としては見どころなのかもしれないね。この監督の松本という男は、日本ではかなりのスターらしいが、この映画は見ての通り低予算だろ? それにユーモアもどこか明確じゃない気が僕にはするんだよ。きっと日本人にとっても、そうなんじゃないのかい? これは、『愛の労働』と呼ぶべきもので、初めから興行収入を見込んで制作したものじゃない。ただ、コメディーを監督するのは非常に難しいと思うんだ。特に、スラップスティックのように肉体的に表現するコメディーじゃないものを、国境を越えて人に伝えようとするのは、かなり難しいはずだ」と語ってくれたジョンは、映画関係者らしいコメントを残してくれた。

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 また、ジョンの友人ジェフリー・エドモンドソンさんもこの映画は、さっきジョンが話した通り、文化的に理解し難い笑いもあったが、下降気味の名声と現在の日本社会を、モンスターを通して比喩(ひゆ)的に表現したもので、メディアにも訴えかけている作品だと思うんだ。良いコメディーって、厳しい社会の現実をこっけいにしたもので、共に過ごしている仲間や文化から引き出したものだと思うんだよね」と述べ、松本が日本を代表するコメディアンという認識がないため、映画だけの自然な解釈をしてくれた面白い観点だった。

 アメリカの配給会社マグノリア・ピクチャーズの広報マット・コーワルに見どころについて聞くと「日本の典型的なアプローチを覆したこっけいなモンスターに、アメリカ人は新しい日本の可能性を見ることになるだろう」とコメントを残してくれた。日本では賛否両論だった本作だが、アメリカでは、まずまずの評価を得ているようだ。

 コメディアンである松本という先入観を除いて映画を鑑賞してみると、また別の感覚で観られる映画なのかもしれない。個人的に松本のお笑い番組を見つつ、現在ニューヨークに住んでいるわたしは、非常によく日本人を観察した映画という感じを受けた。

この映画を鑑賞した後で、きっと彼は第2作目の映画『しんぼる』でも何かをしてくれる気がすると確信した。(取材・文:細木信宏 / Nobuhiro Hosoki)

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