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菊地凛子と押尾学を大絶賛のコイシェ監督、日本の痴漢もよくご存じ!

第62回カンヌ国際映画祭

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イザベル・コイシェ監督-カンヌにて
イザベル・コイシェ監督-カンヌにて - Photo:Harumi Nakayama

 菊地凛子主演のスペイン映画『マップ・オブ・ザ・サウンズ・オブ・トーキョー』(原題)のイザベル・コイシェ監督が第62回カンヌ国際映画祭でこのほど、日本人記者のインタビューに応じた。同作品は東京でロケを行ったが、イザベル監督の驚くべき日本ツウぶりがわかった。

 イザベル監督は約13年前に初めて日本を訪れたそうだが、映画のアイデアを思いついたのは2006年に行われた東京国際女性映画祭で来日した際。主演の殺し屋リュウを誰にするか。イザベル監督は菊地が出演した映画『生きたい』『バベル』を観て出演を依頼した。イザベル監督は「わたしがバルセロナの自宅に泊める女優は、(映画『あなたになら言える秘密のこと』の)サラ・ポーリーと凛子だけ。この二人は特別よ。わたしが仕事をしたいと思った人物で、夢がかなったんだから」と菊地にゾッコンのようだ。

 そのリュウの唯一の友人で、映画の語り部となる録音技師役の田中泯に至っては、15年前にニューヨークで見た舞踏がきっかけだったと言う。イザベル監督は「この映画でナレーター役はとても重要。そこで彼を思いついたんだけれど、最初は自分の劇団を持っていて忙しいからと断わられた。そこを何とかお願い! と彼のもとへ乗り込んで行って承諾してもらったの。演技が深く、心に触れる演技をしてくれて、とても良かった」とニッコリ。

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 そのほか、娘を亡くす父親役の中原丈雄、その部下の榊英雄、そしてセルジ・ロペスが経営するワイン店店員役の押尾学は、オーディションで選んだ。 中でも、本作で最も流ちょうな英語を駆使した押尾のことは「学はフレンドリーでチャーミング。日本で人気があると聞いていたけど、小さい役でも出演してくれた」とたたえた。

 撮影は2008年11月から約2か月間にわたり、浅草・花やしき、大田市場、下北沢、高円寺、そして横浜のラーメン博物館でも撮影を行っている。日本はロケ規制が厳しいことで知られるが、イザベル監督は「みんな聞くんだけど、わたしはそう感じなかった。少ないクルーで行動していたからかも。今まで世界各国でロケをしているけど、最悪なのはモスクワよ」と笑い飛ばした。

 プレス上映で話題となった、菊地とセルジが通う車両型部屋のあるラブホテルはセットだが、調査に基づいて取り入れたのだという。イザベル監督は「わたしは泊まったことはないけど、女性二人で見学に行ったことがあるわ。そのとき見た部屋は、ペンギンがいる『氷の間』というものでビックリした(笑)。ああいう車両をモチーフにしたホテルは、大阪に実際あるのよ。今回、その部屋を選んだのは、部屋にドンとベッドを置いたラブしシーンを撮るのがイヤだったからなの」と説明する。痴漢プレイを楽しむ人がいるのを知っているとか? と尋ねると、「ええ、だって私鉄の車両に、『女性専用車両』っていうのがあるじゃない」と鋭い指摘をした。

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 菊地によると、イザベル監督をはじめスペインスタッフは超グルメで、撮影中は毎晩のように高級レストランや割烹で食べ歩き「わたしは最終的に胃を壊して、一日使いモノにならなくなったほど」とのこと。また、殺し屋はいちご餅とラーメン好きな設定なのだが、それもイザベル監督の好みが取り入れらている。  

 驚きなのは、劇中で美空ひばりが歌う「ばら色の人生」が流れることだ。その事に触れるとコイシェ監督は声を一段上げながら「わたし、美空ひばりが大好きなの! エディット・ピアフは別として、(原曲の)『ラ・ヴィアン・ローズ』は、彼女がカバーしたものが一番良いと思う」と力説した。

 同作品は今後、外国人監督が撮った東京ということで、ソフィア・コッポラ監督の映画『ロスト・イン・トランスレーション』と比較されることになるだろう。だがイザベル監督は「あの映画、悪くはないと思うけど、でもアメリカ人が見た日本という感じ、(日本に)入り込んでいないと思う。わたしはCMの仕事でアメリカ人と一緒に仕事をする機会が多いんだけど、大体彼らはパターン化されていて、物事の見方が一緒なのよ」とバッサリ。むしろ、是枝裕和監督作の日常の描き方や、河瀬直美監督の自然のとらえ方を参考にしたそうで、「河瀬の作品は、ドキュメンタリーを含めて全部観ているわ」と言う。

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 さらにイザベル監督のアメリカ批判は止まらず。「わたしの敵はスターバックス。あの店はシアトルで大人しくしてればいいのに、パリや東京にどんどん店を出しちゃって。そのうちにカンヌにもやって来るわよ。だってアメリカ人はカンヌにサンタクロースを呼んで雪を降らせたりするくらいだもの」とカンヌで派手なプロモーションを行った映画『Disney'sクリスマス・キャロル』にも怒りの矛先を向けていた。(取材・文:中山治美)

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