『ターミネーター4』1位になれず…何と『ナイト ミュージアム2』が全米第1位!-5月25日版
全米ボックスオフィス考
普段は金曜日から始まるはずの新作映画の興行収入争いだが、今週はメモリアル・デーというアメリカの連休週末だったため一足先の木曜日の5月22日から、激しい戦いが繰り広げられた。週末ランキングの王座争いは、クリスチャン・ベイル主演の6年ぶりとなる映画『ターミネーター』シリーズの最新作映画『ターミネーター4』、そして金曜日に公開されたベン・スティラー主演の人気シリーズ第2弾映画『ナイト ミュージアム2』の一騎打ちとなった。
結果は、1日早く公開されたにもかかわらず、『ターミネーター4』が無念の第2位に終わり、『ナイト ミュージアム2』が推定7,000万ドル(約70億円)という興行成績を記録して華々しく第1位に輝いた。今回、映画の舞台になるのはワシントンDCにあるスミソニアン博物館。1作目でベンは、ニューヨークの自然史博物館で夜勤のガードマンをして一人息子を育てているパパを演じた。そして、夜になると動き出す博物館の展示物たちとのアドベンチャーに巻き込まれていくというストーリーだったのだが、今回は、1作目でアドベンチャーを共にしたニューヨーク博物館の仲間たちが、新しい展示物用に場所を空けるため、スミソニアン博物館の倉庫送りになってしまう……という筋書き。今ではすっかり出世して夜勤ガードマンなんて辞めてしまっているベンだが、仲間たちのトラブルを知って大救出作戦を展開するのだ。
第2位の『ターミネーター4』がたたきだした興行成績だが、金曜から月曜までの総合が5,190万ドル(約51億9,000万円)、木曜日の先行ロードショーの分も含めると、推定6,530万ドル(65億3,000万円)という結果が出ている。別の週に公開していれば、第1位になってもおかしくない成績である。配給のワーナー・ブラザーズが取ったアンケートによると、同作品を観に来ていた約63パーセントが男性客で、58パーセントが18歳から34歳だったということだ。バイオレンスで暗いトーンの『ターミネーター4』が、幼い子どもたちには不向きなのに対し、『ナイト ミュージアム2』は老若男女、ファミリーからカップルまで万人が楽しめるアクション・コメディー作品。どうやら、それぞれの作風が最終的な興行成績の結果となって現れたようだ。
第3位は、先週から47パーセントのダウンで2,940万ドル(約29億4,000万円)の売り上げで、映画『スター・トレック』。ランクダウンの原因の一つに、一部の深夜上映を除いて、アメリカすべてのIMAX上映枠を『ナイト ミュージアム2』に明け渡さなければならなかったということが挙げられる。先週の『スター・トレック』のIMAX売り上げと今週の数字を比べてみると、89パーセントのダウンという痛い結果に追い込まれている。アメリカの映画業界で作品をヒットさせるためのキーポイントとして、封切りスクリーンの件数確保が非常に重要であるということがここから見て取れる。
今週の第4位は、先週の第1位から転落した映画『天使と悪魔』で2,740万ドル(約27億4,000万円)。シリーズ第1弾の映画『ダ・ヴィンチ・コード』と比べると、落下のパーセンテージはやや少なめ。アメリカでは第4位だったものの世界興行収入では今週も第1位に君臨しており、素晴らしい成績である。
さて、第5位に食い込んだのはパロディー映画『ダンス・フリック』(原題)で1,260万ドル(約12億6,000万円)。8年前にヒットを記録したダンス映画『セイブ・ザ・ラストダンス』のパロディーだ。だが8年前のまぁまぁヒットした作品をパロって……ということで、上位陣と比べるとややパワー不足な感じか。
次回のボックスオフィス争いは、し烈な戦いが予想される。まずディズニー/ピクサー待望の新作映画『カールじいさんの空飛ぶ家』が公開される。これは初めてディズニー/ピクサーのデジタル3Dで公開される作品で、万人が楽しめそうなことからかなりの集客が予想される。『カールじいさんの空飛ぶ家』のキュートさに対抗して怖さで攻めるのは、サム・ライミ監督のホラー映画『ドラッグ・ミー・トゥ・ヘル』(原題)。『カールじいさんの空飛ぶ家』にはまったく興味を示さないヤングやホラー映画ファンの関心を引くこと請け合いで、かわいさvs.怖さのどちらが勝利を得るか、次回のランキングが楽しみである。(取材・文:神津明美 / Addie Akemi Kohzu)