是枝裕和監督、楽しめない…とカンヌ国際映画祭はお嫌い?
2008年度「映画館大賞」ベストテンの第4位にランクインした映画『歩いても 歩いても』が29日、東京・渋谷のユーロスペースで特別上映され、是枝裕和監督がトークイベントに出席した。
最新作の映画『空気人形』が、今月13日から24日まで開催された第62回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門に出品され、現地での公式上映に立ち会い、帰国後日本のファンの前に初登場となった是枝監督は、「相変わらず、ワイワイ、イライラ、ザワザワしていた」とカンヌ独自の雰囲気を振り返った。自身もプレス取材などで忙殺された滞在に「出品されることの意味はとても大きいけど、正直、楽しめない映画祭」とぶっちゃけ告白。好きな映画祭を尋ねられても「カンヌは挙げない」と歯切れ良く語った。
また今回の「映画館大賞」にちなみ、早稲田大学の学生だったころ、新宿・高田馬場周辺の映画館に通った思い出を懐かしみ「今でも映画は映画館で、と思っています。やっぱり、みんなで観るって大切」と映画館で映画を鑑賞する意義と楽しさをアピール。2008年度「映画館大賞」第1位に輝いた映画『ダークナイト』をスタッフと一緒に観に行き、大いに盛り上がったことを明かす一方で「でも『ハプニング』は盛り上がりませんでした……」と再びぶっちゃけ。熱心な映画ファンの笑いを誘っていた。
「映画館大賞」は全国の独立系映画館110館の投票によって選出される映画賞で、各館スタッフの「ぜひスクリーンで観てほしい」という思いが反映された結果になっている。2008年度は第1位に『ダークナイト』(クリストファー・ノーラン監督)、以下、映画『ぐるりのこと。』(橋口亮輔監督)、映画『おくりびと』(滝田洋二郎監督)、『歩いても 歩いても』(是枝裕和監督)、映画『トウキョウソナタ』(黒沢清監督)がベスト5に選ばれた。