野郎パワー強し!『ザ・ハングオーバー』再び全米ナンバーワン!!-6月17日版
全米ボックスオフィス考
エディ・マーフィの新作をモノともせず、強敵のカールじいさんもけ散らして、お下劣コメディー映画『ザ・ハングオーバー』(原題)が2週連続で全米ナンバーワン映画の座を獲得した。
今週3,280万ドル(約32億8,000万円)の興行収入を記録した『ザ・ハングオーバー』(原題)は、クチコミで評判が広がり人気が持続したものと思われ、公開後10日間で約1億480万ドル(約104億8,000万円)の興行成績を上げており、作品の規模にしてはかなりアッパレな数字といえる。先週と比べての下降率もわずか27.1パーセントにとどまっており、これから総合でどのような数字を出すのかが興味深い。(1ドル100円計算)
先週に続いて第2位は、ピクサー初の3D映画『カールじいさんの空飛ぶ家』で、興行成績は3,076万ドル(約30億7,600万円)。この収入のうち52パーセントは、3D公開からの収入と発表されている。また、公開17日目にして1億8,740万ドル(約187億4,000万円)という収入を記録しており、映画『スター・トレック』『モンスターVSエイリアン』に続き、2009年度公開のトップ収入映画の第3位に食い込んでいる。
続く第3位には、今週初登場、デンゼル・ワシントンとジョン・トラヴォルタ主演のサスペンス・スリラー映画『サブウェイ123』で、2,340万ドル(約23億4,000万円)の売り上げ。3,074館、推定4,400スクリーンで公開されたこの作品は、1974年の映画『サブウェイ・パニック』のリメイクだ。これまでのデンゼル主演のスリラー映画『マイ・ボディーガード』『ジョンQ-最後の決断-』などと比べると、やや低めの出だしだった。
そして第4位は、今週もガンバリ中の映画『ナイト ミュージアム2』で、962万ドル(約9億6,200万円)の売り上げを記録した。ちなみに、今週デビューしたエディの新作映画『イマジン・ザット』(原題)も、映画『ナイト ミュージアム』シリーズと同系統のファンタジー・ファミリー映画だが、3,008館で公開されたにもかかわらず、興行成績は550万ドル(約5億5,000万円)と情けない結果に終わってしまった。
映画ファンにしてみれば、「ファミリー映画を観たいのであれば、3Dアニメの『カールじいさんの空飛ぶ家』や特撮満載の『ナイト ミュージアム2』のような豪華作品があるのだから、奇抜さにとぼしい『イマジン・ザット』(原題)をわざわざ映画館に観に行く必要はない」というのが大方の意見だったようだ。1980年代には、コメディー俳優として名をはせていたエディだが、ここ数年のうちに公開されたエディ主演のコメディー映画の成績は低迷しており、このままだと彼の大々的なカムバックはかなり難しいという見方が強い。
さて、辛うじてトップ5内だが総合的に見てかなり悲しい状況なのが、今週第5位の映画『マーシャル博士の恐竜ランド』。今週は先週と比べて52パーセントの下降率で、900万ドル(約9億円)の興行収入。オープン後10日間でたったの3,480万ドル(約34億8,000万円)という総合収入にとどまっている。公開から時間が経つにつれて、国内での収入がますますスローダウンしていくのは必然的であるため、推定製作費1億ドル(約100億円)を費やしたこの作品が、海外興行収入やDVDセールスなどで、どれだけ盛り返せるかに注目が集まる。
来週ランキング入りが予想される新作をご紹介する前に余談なのだが、イギリスと日本で6月19日に最速公開予定の映画『トランスフォーマー/リベンジ』は、本国アメリカでは封切りがなぜか6月24日。アメリカのファンは、もう少しガマンしなければならない……! そんなイライラを沈めるために(!?)映画ファンが観に行くであろうコメディー作品が、19日公開の映画『イヤー・ワン』(原題)である。ジャック・ブラックとマイケル・セラ主演の原始人コメディー(!?)だ。そして久々のサンドラ・ブロックとライアン・レイノルズのラブコメ映画『ザ・プロポーザル』(原題)。この有力候補2作品がどこまでトップ5に食い込めるか? 次回をお楽しみに!(取材・文:神津明美 / Addie Akemi Kohzu)