宮崎あおいの一言に「僕も男ですからクラッときます」と鬼の木村監督もデレデレ
日本映画界を代表する名カメラマン、木村大作氏の初監督映画『劒岳 点の記』が20日、初日を迎え、東京・丸の内TOEI1で木村監督と浅野忠信、香川照之、松田龍平、宮崎あおい、仲村トオルらが舞台あいさつを行った。
「今、山を登り、下りてきた皆さんは、われわれの仲間です!」と朝いちの上映を堪能した観客への感謝の言葉で口火を切った木村監督だが、すかさず「9時半に映画を観に来る神経がわかりません!」と持ち前の毒舌も披露。7月に70歳を迎えるが、47都道府県制覇の全国行脚キャンペーンを完遂し、21日までに計84回の舞台あいさつ記録を達成する予定の強者で、これまで熱い思いをパワフルに語り続けてきたが、「今日は静かに感動的にやりたい。わたしが一番感動……危ないんです。今、今日は本当にうれしいです!」と感涙にむせぶのをこらえるように深々と頭を下げた。
過酷な撮影をこなし切った男優陣が、木村監督への畏敬の念を口々に語る中、紅一点の宮崎は「すごく優しくしてもらいました。この先も大作さんに見てもらえる役者でいたい」。ベタボレの女優に「大作さん」と呼ばれ、さすがの鬼監督も「僕も男ですからクラクラッときます」と相好をくずした。写真撮影後に「これだけ撮って捨てたら承知しないぞ、この野郎!」と取材陣に愛嬌(あいきょう)のある怒声を上げるひと幕もあった。
本作は、明治時代、前人未踏の劔岳の測量に挑んだ男たちの物語。CGを一切使わず山の四季を撮るため約2年間、延べ200日に及ぶ撮影が敢行された。山の撮影で苦楽を共にした仲間である撮影隊の中から数名が最後に登壇。代表して監督補の宮村敏昌氏が「10年経っても20年経っても30年経っても、木村さんが死んでも皆さんの心に残り続ける映画にできた」と達成感に満ちた言葉を述べていた。
映画『劒岳 点の記』は丸の内TOEI1ほかにて全国公開中