ビバ!60歳前後のアラカン世代!第二の青春描く映画ブームが到来!『扉をたたく人』も公開へ
60代前後を指す“アラカン世代”なる言葉が生まれ、団塊世代へ向けた商品や流行が発信される中、第二の青春や人生を扱った映画がじわりじわりとブームになっている。
邦画では現在公開中の映画『60歳のラブレター』などがあるが、洋画でもその年代を取り扱った傑作が数多く公開されている。ノルウェーの巨匠ベント・ハーメル監督の映画『ホルテンさんのはじめての冒険』は、定年退職を迎える67歳のまじめなホルテンさんが人生初の遅刻をしたことで、それまでの人生で起こることのなかった出来事に巻き込まれていくというストーリー。ささいなきっかけが、その後の人生や生き方を変えるというテーマは普遍的なものだが、人生の岐路に立ったホルテンさんが第二の人生に開花する姿は温かい感動を呼んだ。
また6月27日には、アラカン映画の決定打的な作品が公開される。それはアメリカで、スター不在ながらクチコミで評判となった映画『扉をたたく人』だ。移民問題をテーマにしたストーリーもさることながら、「何もかもふりだけ。忙しいふり、働くふり」と妻に先立たれてからの人生をネガティブに語る初老の大学教授ウォルターの姿に共感する人は多いのではないだろうか。また彼が移民の青年と出会ったことで、生きる活力を取り戻していく様は「あきらめなければ、人生どんなきっかけで何が起こるのかわからない!」と観客に勇気を与え、青年の母親とウォルターの間で静かに育まれる愛は、伴侶を亡くし、心のよりどころを探しながら第二の青春を待ち望む同年代を涙させるのだ。
ウォルターを演じたリチャード・ジェンキンスは、本作でアカデミー賞主演男優賞にノミネート。それまでの脇役というイメージを払拭し、主演も張れる演技派俳優として第二の人生のスタートを切った。演じた役者が、実際に新たな人生を切り開いていくというエピソードは、本作がアラカン映画の決定打となったゆえんでもある。日本公開が楽しみな作品だ。
映画『扉をたたく人』は6月27日より恵比寿ガーデンシネマほかにて全国公開