最強のアクションスター坂口拓!監督・俳優作品をニューヨークでお披露目!
現在開催されているSubway Cinema主催のN.Y.A.F.F(ニューヨーク・アジアン・フィルム・フェスティバル)に、日本のアクション俳優・坂口拓が参加し、自ら監督した作品、そしてアクションに傾ける情熱を熱く語ってくれた。
北村龍平監督との出会いが彼の人生に大きな変化をもたらしたらしく、「11年前、僕が23歳のときに北村さんと初めて会って、彼から『お前みたいなクレイジーなヤツを探していた』と言われ、24歳のときに製作を始めたのが映画『VERSUS ヴァーサス』なんですよ」と映画界へ入ったきっかけを教えてくれた。
俳優を始めて10年、今回映画『魁!!男塾』で監督をしてみようと思った経緯については、「実は、その北村さんと会ったときから、僕は監督志望だったんです。ただ、アクションもできるということで役者になったんですよ。それまで、自主映画でも監督やっていたことがあったんで、僕にとっては自然な流れで監督になった感じなんです」と語った通り、『魁!!男塾』ではアクション満載の俳優業をこなし、監督兼アクション監督として、刀さばきなども指導している。
さまざまな格闘技に挑戦してきた坂口だが、「空手から少林寺、ボクシング、キックボクシング、それらを全部含めた総合格闘技をやっていましたね。もちろん、それぞれのジムに入ってやっていたんですが、もともと自由な発想を持って、どこにも特定した形で所属せずにいながら、それぞれの大会だけには出ていたんです。ただ、プロのライセンスは持っていないんですよ。でも、スパーリングはボクシングもキックボクシングも世界チャンピオンの人たちとやっていたんです。プロのジムの方からも、プロになってくれと頼まれていたのですが、僕はアクションを極めることしか興味がなくて、やりませんでしたね」と話してくれ、実際にあるチャンピオンから「お前ほど強いヤツと闘ったことがない」と言わしめたこともあるらしい。
数々の武勇伝について「僕はジャッキー・チェンが好きだったんですが、彼の演出はショー的なものがあると思うんです。そこで、もっとリアルなアクションにあこがれ、進化させたいと思っていたときに、ある20人以上もいるチームを、一人でやっつけたことはあります。それは、あくまでリアルを追求し、どこまで勝てるかみたいなことでした。Wikipediaなどで、どういうことが書いてあるかわかりませんが、それだけは本当ですね」と淡々と語ってくれた。
物足りなさから海外進出は考えなかったのだろうか。それについては、「最近、日本ではアクション映画と呼べるものが作られていないと思うんです。それは、昔で言えば千葉さん、真田さん、倉田さんだったりなどの、アクション俳優がいなくなったことがあると思うんです。実際にアクション・プロダクションがあっても、そこから十分に主役をこなせる人たちが出てきていないと思うんですよ。だから、今監督もやっていますが、体の動くうちは日本でアクションをやっていたいと思っているんです」と海外進出を踏みとどまった理由を教えてくれた。
日々のトレーニングについては、「トレーニング場が下北沢にありまして、そこで夜、柔術、ボクシング、キックボクシングをやっています。ただ、僕は筋トレはやっていません。人を殴って、けることによって筋肉が付くので。それは、僕のプロダクション、Team Zero's(ゼロス)で教えていることと同じで、僕のやっているアクションは格闘技にも通用するんで、僕のプロダクションから、今度プロボクシングでデビューする人もいるんですよ」と普通の俳優がやらない実践的な鍛え方をしていることも教えてくれた。
『魁!!男塾』では男気が描かれているが、彼にとっての男気とは「単純に言えば、誠実であることではないでしょうか? あくまで、自分の思いにまっすぐであってそれは、僕にとって映画です。映画に対してまっすぐで誠実に撮っていきたいと思っています。それが、僕が人に見せる男気ではないでしょうか?」と彼らしい答えが返ってきた。
現在、監督作2作が、ニューヨークで公開されることを喜びながら語ってくれた彼だが、今後の日本のアクション映画を大いに盛り上げてほしいものである。『魁!!男塾』と映画『鎧 サムライゾンビ』が、現在映画祭で公開されている。(取材・文:細木信宏 / Nobuhiro Hosoki)