イギリスの人気バンド、アークティック・モンキーズ出演の超低予算映画が完成
イギリスの人気バンド、アークティック・モンキーズが出演してロックファンの間でも話題となっているシェーン・メドウズ監督のわずか5日間で撮りあげた超低予算映画『ル・ドンク』(原題)が完成した。
映画『THIS IS ENGLAND』のBAFTA受賞、それに続く映画『ソメーズ・タウン』(原題)で、今もっとも油が乗っているイギリス監督として注目されるメドウズ監督の新作だ。ドンクと名乗るローディーを主人公にした本作は資金集めで暗礁に乗り上げていた。そこに偶然にもアークティック・モンキーズからコンサートのドキュメンタリー製作の話が持ちかけられ、それを断ったものの、コンサート会場を舞台として使わせてもらうことで実現した。アークティック・モンキーズのローディー(コンサートスタッフ)となったドンクという筋書きで、同バンドの演奏シーンはないが、ドンクに声をかけるシーンなどで顔を出している。
本作でドンクを演じているパディ・コンシダインはこれまでにもメドウズ映画では何度か主演を務めてきた。渋い演技が光る俳優だが、今回のドンクはこれまでの役のイメージとはうって変わってヒップホップのノリの浮ついた男。メドウズがドンクのドキュメンタリーを撮っているという設定になっており、ドンクを実在の人物と勘違いする人も現れそうな名演だ。映画祭に登場した際も、まだ長髪にルーズな服装のドンクの姿。アリG、ボラットに続いてブルーノでお騒がせのサシャ・バラン・コーエンも真っ青の成り切りぶりだが、そこはメドウズ・コンシダインコンビ、口と態度は大きいドンクの中に悲しさがかいま見えることで単なるコメディとは一線を画している。
また、本作には引退かとも言われた時期を経て復活した幻のラッパー、スコゼイジーが本人役で出演している。ドンクとともに、アークティック・モンキーズのコンサートについて行き、ドンクと2人で前座としてラップまで披露する。お笑いラップのドンクとは違い、さすがにスコゼイジーのラップはプロだが、活動休止の間にすっかり体重を増やしてしまった姿で登場、ある意味天然キャラとなっている。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)