『カムイ外伝』崔洋一監督、極限状態まで追い詰められた松ケンに放った鬼の一言!
白土三平の伝説的なコミック「カムイ外伝」を映像化した映画『カムイ外伝』の監督を務めた崔洋一が、最高の役者だと絶賛する役者松山ケンイチの魅力を語った。
「カムイ外伝」は、忍の世界から逃れ、真の自由を求めて抜け忍となる物語。タブー視される題材にあえて踏み込んだ崔監督は、「運命論的に言えば、取り上げざるを得なかった」と話した。そして、運命が結びつけたのは、作品だけではない。カムイを演じた松山ケンイチもまた、この時代に作られる映画だったからこそ、抜てきされた俳優だった。
松山は、本作の撮影中にけがをしたことで、一度撮影を中断させている。自らの責任で空けてしまった大きな穴。申し訳ない気持ちと、絶対に成功させねばならないというプレッシャーの中でもがき苦しんでいる松山の様子を崔監督は、「並々ならぬ覚悟を感じましたね。でも、屋内でトレーニングしていたときに比べて、灼熱(しゃくねつ)の沖縄で、それも砂浜でのアクションは思い通りに体が動いていなかった。撮影が進むにつれて、彼の精神力も奪われていっているのはわかりました」と語った。そんな松山に崔監督は、「僕は、そのつらい精神状態もいいと言ったんです。そのつらさをカムイの一部にしてくれ」と声を掛け作品を作り上げたことを教えてくれた。松山のプレッシャーを察し、それを逆に演技へと昇華させた崔監督の演出力はさすがだ。
『カムイ外伝』は、忍の世界から逃れようとしたカムイが、抜け忍となり、執拗(しつよう)な追っ手から逃げ続けながら、本当の自由を探していく物語。どんなにつらいいことがあっても、生きることに恐ろしいほど執着するカムイの生きざまは、われわれ現代人の心に何かを訴えかけてくる。全編を通して熱く伝わってくる、崔監督と松山の気迫を感じてほしい。
映画『カムイ外伝』は全国公開中