最強のおばさん!『タイラー・ペリー』最新作が堂々の全米第1位!-9月15日付
全米ボックスオフィス考
アメリカ全体の興行収入は、去年の同時期と比べると約10パーセント減ではあるものの、今週の全米興行収入ランキング争いは、ここ数か月の中で一番動きの激しかった週だったといえる。
まずは注目の首位争い。先週第1位だった映画『ファイナル・デッドサーキット 3D』をけ落として今週の全米ナンバーワンに輝いたのは、2,255映画館、推定3,200スクリーンにて封切られたタイラー・ペリーのマデアおばさんシリーズこと、映画『タイラー・ペリーズ・アイ・キャン・ドゥ・バッド・オール・バイマイセルフ』(原題)だった。
タイラーが、過去同時期にリリースした作品並びにそのデビュー週末の売り上げは、映画『タイラー・ペリーズ・ザ・ファミリー・ザット・プレイズ』(原題)の1,740万ドル(約17億4,000万円)、そして映画『タイラー・ペリーズ・ホワイ・ディド・アイ・ゲット・メアリード?』(原題)の2,140万ドル(約21億4,000万円)となっているが、今回の『タイラー・ペリーズ・アイ・キャン・ドゥ・バッド・オール・バイ・マイセルフ』(原題)は2,340万ドル(約23億4,000万円)という売り上げを記録し過去の2作品を抜く好結果となった。(1ドル100円計算)
第2位は、SFアニメにしては予想外のヒットとなった『9』(原題)で1,074万ドル(約10億7,400万円)の売り上げ。これと言って大々的なPR作戦や前評判なども聞かれなかった同作品だが、ふたを開けてみれば目を見張るようなCGと世紀末後を題材にしたストーリー内容が観客に好評で、公開された9月9日(水)から5日間の興行収入トータルを見てみると1,520万ドル(約15億2,000万円)という、このジャンルにしてはなかなかの数字をたたき出している。過去の同種作品である映画『アイアン・ジャイアント』『バトル・フォー・テラ』(原題)と比べても、この2作品のデビュー成績をはるかに上回る結果となっており、注目を集めている。
第3位は先週の2位からワンランク・ダウンの映画『イングロリアス・バスターズ』で614万ドル(約6億1,400万円)。47.2パーセントの下降率だったが、公開後4週目にして興行収入のトータルはすでに1億ドル(約100億円)の大台に乗っている。
第4位も先週からワンランク落ちで、サンドラ・ブロック主演ラブコメ映画『オール・アバウト・スティーヴ』(原題)の564万ドル(約5億6,400万円)。公開後10日で2,170万ドル(約21億7,000万円)の興行収入トータルを上げている。
トップ5の最後は、まさに今週がファイナルになってしまいそうな『ファイナル・デッドサーキット 3D』で552万ドル(約5億5,200万円)の売り上げ。先週トップの座からすごい勢いで転がり落ちての第5位で、下降率は55.4パーセントだった。
今週のデビュー作品で、期待されていたホラー映画『ソロリティー・ロウ』(原題)とケイト・ベッキンセイル主演のアクション・スリラー映画『ホワイトアウト』は、どちらもデビュー早々ガス欠状態でトップ5圏外となり、それぞれ第6位と第7位という残念な結果に終わった。
来週のランキング予想だが、首位争いに加わるであろう作品が数点。筆頭を飾るのは3Dアニメで楽しさ満載といった雰囲気の映画『くもりときどきミートボール』。ある科学者が世界にまん延する飢えを撲滅しようと、雨の代わりに食べものを空から降らす方法を発明したのだが、そのコントロールが利かなくってしまったからさあ大変! というストーリー。ハンバーガーやらショートケーキやらが3Dで観客めがけて突進してくる感覚は、子どもだけでなく大人も大いに楽しめること請け合い。
お次は、映画『トランスフォーマー』出演以来、人気上昇中ホットなミーガン・フォックスがついに主演を務めるサスペンス・ホラー映画『ジェニファーズ・ボディー』(原題)。文字通り男を食いものにする悪魔のとりついたチアリーダーを演じる。これはミーガンのファンでなくとも興味本位で少々観てみたくなる衝動にかられるため、ランキング首位争いの好敵手となりそうだ。
最後の首位争い候補は、マット・デイモン主演、スティーヴン・ソダーバーグ監督のダークコメディースリラー映画『ジ・インフォーマント』(原題)だ。実話を基にした大手商社のスキャンダルを描いている。
果たしてどの作品がトップになるかが楽しみだ。(取材・文:神津明美 / Addie Akemi Kohzu)