マンガの神様・手塚治虫が今も愛され続ける理由とは?今年は生誕80周年!
去年で生誕80周年を迎えた手塚治虫は、日本国内はもちろん海外でも高く評価されており、その作品は今も色あせるどころか新たなファンを開拓し、次世代のクリエーターたちを刺激してやまない。手塚治虫が世代や国籍を越えて愛され続ける理由に迫った。
まず挙げられるのが、個性豊かなキャラクターたちの魅力だ。天才医師のブラックジャックやジャングル大帝レオなどを筆頭に、独特なタッチが一度見たら忘れられないインパクトを残すだけでなく、彼らの内面で繰り広げられる葛藤(かっとう)や苦悩が、受け取る側の共感を呼び起こす点は、間違いなく手塚作品が愛される理由の一つといえる。人間はもちろん、動物やロボットにも感情移入できてしまうのも、手塚のキャラクター造形が奥深い証拠だ。
誰もが知る古今東西の古典が多様な切り口でアレンジされ、オリジナル作品に仕上げられているのも、手塚作品の醍醐味(だいごみ)。例えば、1970年に制作された劇場用アニメ『クレオパトラ』は、史実をベースにしながらも、絶世の美女クレオパトラが整形していたという独自の解釈がなされている。加えて、「サザエさん」「カムイ外伝」といった当時の人気キャラクターが友情出演するなど、手塚ならでのは遊び心も満載だ。
何より、手塚作品が21世紀に語り継がれる最大の理由は、その先見性にある。手塚が生涯をかけて追求した「生命の尊厳」というテーマを軸に、環境破壊や自然との共存、クローン技術や医療問題、人間性やモラルの崩壊など、現代人が直面するタイムリーな問題をいち早く取り上げ、人類に警鐘を鳴らす作品群。そこには未来を予見する“もしも”の精神が息づいている。
そして、この秋は代表作であるテレビアニメ「鉄腕アトム」が、ハリウッドでCGアニメ長編映画『ATOM』として生まれ変わるなど、新たな手塚ブームが盛り上がる予感。これまで「名前やタイトルは知ってるけど……」と食わず嫌いだった人や、リアルタイムで手塚作品に触れたことがない子どもたちにも、ぜひ手塚ワールドの楽しさと深さを知ってもらいたい。
映画『劇場版 ブラック・ジャック』は10月12日午前8:00よりWOWOWにて放送