男の脳を刺激する「男印映画」の魅力とは?
ロマンチックなラブストーリーが女性たちに愛され続けているように、いつの時代でも男たちの脳を刺激する「男印映画」がある。男心をくすぐるスタイリッシュな映像を作り出すリドリー・スコット監督や、骨太な男たちのドラマを描くマーティン・スコセッシ監督、暴力描写のすさまじさが男性ファンに愛されているクエンティン・タランティーノなど、男たちに愛される男印映画の魅力を分析してみた。
まず男印映画の特徴といえるのが、スタイリッシュな映像美だ。日本男児があこがれる日本人俳優、高倉健と松田優作が共演した、リドリー・スコット監督の映画『ブラック・レイン』は、男印映画の一つだ。松田の鬼気迫る演技と、光と影を巧みにつかった照明が作る残酷な映像美は男心をくすぐる作品として、今なお世界中の男たちに愛されている。また、続編も決まったというクエンティン・タランティーノ監督の映画『キル・ビル』シリーズも男たちから愛される作品の一つだ。スピーディーなストーリー展開に加え、ユマ・サーマンが日本刀で闘うスタイリッシュな戦闘シーンはまさに男印映画の代表といえるだろう。
また、男と男の泥臭い人間ドラマも男印映画の重要な要素の一つ。レオナルド・ディカプリオとマッド・デイモンの共演が話題を呼んだマーティン・スコセッシ監督の映画『ディパーテッド』も、おとり捜査の中で生まれる奇妙なきずなを描き、その緊迫感が男たちの脳を刺激する。また、リドリー監督が追う側と追われる側との関係を描いた映画『アメリカン・ギャングスター』では、デンゼル・ワシントンふんする麻薬王のストイックさに人間的な魅力を感じてしまうだろう。単なる悪役ではなく、人間同士がぶつかり合う姿を描く男印映画は、胸にグッとくるドラマを生み出していく。
しかし、男の脳をもっとも刺激するのはリアリティーにあふれた映像描写だ。北野武が、映画で描くバイオレンスシーンは、観ているこちらにも痛みが伝わってしまうくらいリアリティーにあふれている。リドリー監督もまたリアリティーへのこだわりは強く、SFホラーであってもまるで現実を見ている気持ちになってくる映画『エイリアン』のリアルさは、さすがの一言。ここにもまた、男たちが惹(ひ)かれる魅力が隠されていたのだ。
タランティーノ監督のスタイリッシュな映像、スコセッシ監督の男くさい人間ドラマ、北野武の暴力、そしてリドリー監督がこだわり続けるリアリティー。時代ごとに、男たちに愛される男印映画は生まれている。男印映画の魅力を知れば、明日からの男性との映画談義に花が咲くことだろう。
映画『ブラック・レイン』は12月11日(金)よる11:40よりWOWOWにて放送