映画『シャーロック・ホームズ』制作者の愛と努力にホームズ愛好家たちも応援
映画『シャーロック・ホームズ』に主演するロバート・ダウニー・Jrが、ホームズとワトソンの背後には同性愛が描かれているとコメントし、著作権者を激怒させた事件があったが、著作権者が制作とストーリー原案を担当したライオネル・ウィグラムのホームズへのリスペクトぶりを知ればその怒りも収まるかもしれない。
アーサー・コナン・ドイルが生んだ世界一有名な名探偵を、装いを新たにダイナミックに描く本作のストーリー原案を担当したのは、世界中で大ヒットを記録した映画『ハリー・ポッターと謎のプリンス』で製作総指揮を務めたライオネル。彼は幼いころに短編を読んで以来のホームズファンで、今回のストーリーを生み出すにあたり全作品を読み直し、単なる過去の焼き直しではなく、原作を知らない世代にもホームズの素晴らしさを広めるべく、伝説の名探偵に新たな命を吹き込む決意を固めたという。
だが、アイリーン・アドラー、ワトソンの恋人メアリー・モースタン、ホームズの一歩遅れをとるレストレード警部、ベーカー街221Bにあるホームズとワトソンが共同生活を送っているアパートの大家ハドソン夫人など、オールドファンを喜ばせるキャラクターをしっかり登場させるなど、原作への敬意は忘れてはいない。
さらにライオネルは原作だけにとどまらず、世界中のホームズ愛好家たちで結成された「ベイカー・ストリート・イレギュラーズ」の会員たちに話を聞き、研究家で理事の一人であるシャーロキアン(ホームズの熱狂的ファン)からは、言葉と事実関係についてアドバイスを受けたという。ライオネルはこれら取材について「彼らの知識の深さと量にはまるで太刀打ちできなかった。そんな彼らがこの映画のことを心から応援してくれたので、すごくホッとしたよ」と回想している。
その愛と努力が実り、アメリカ公開ではクリスマス当日の興収史上最高額をたたき出した。日本でも人気の高いシャーロック・ホームズ、そしてガイ・リッチー監督久々の大作映画だけに、その公開に期待が高まっている。
映画『シャーロック・ホームズ』は2010年3月12日より丸の内ルーブルほかにて全国公開