アカデミー賞のジンクス、SF大作、アイドル俳優は取らない!今年は例外?
アカデミー賞授賞式が近づき、ジェームズ・キャメロン監督の映画『アバター』など数々の大作の名が候補に挙がっているが、『アバター』のような莫大な予算で作り上げたハリウッド超大作というべき、王道作品が受賞するとは限らない。果たして今年はどの作品がオスカー像を手にするのか、過去のアカデミー賞のジンクスが今年は破られそうな予感だ。
過去のアカデミー賞を振り返ってみると、アイドル俳優は賞を取りにくいというジンクスがある。逆に個性派のベテランは取りやすい。ほかにもコメディやSF、ホラーなどのほかに莫大な製作費を投じ、大ヒットを記録したいわゆるハリウッド超大作はアカデミー賞で評価されにくく、人種問題や戦争、歴史を描いた作品は取りやすい。
まずアイドル俳優が取りにくいという点からみてみると、トム・クルーズにはじまり、レオナルド・ディカプリオ、ジョニー・デップなど容姿端麗なアイドル的な俳優は演技派であるにもかかわらずノミネートまではされるが受賞まで至ったことはない。
昨年公開された映画『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたブラッド・ピットは容姿端麗な俳優という意味では同じカテゴリー。『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』でブラッドは若者から老人までを見事に演じてみせ、初の主演男優賞受賞となるか注目を集めていたが、その年は映画『ミルク』でハーヴィー・ミルクを堂々と演じた演技派俳優のショーン・ペンに譲る結果になっている。
また超大作がとりにくいという点については、スティーヴン・スピルバーグ監督作の映画『E.T.』もその例の一つだ。本作は宇宙人と子どもたちのピュアな交流を描き、アカデミー賞では作品賞を含む9部門にノミネートされたが、その年は伝記映画の映画『ガンジー』が圧勝している。ほかにも、ゴールデン・グローブ賞で4部門の賞に輝き、アカデミー賞では当時最多の11部門ノミネートされた、巨匠ロマン・ポランスキー監督の映画『チャイナタウン』も、意外にも脚本賞のみ受賞という結果になっている。ただし、例外に『ベン・ハー』『タイタニック』『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』が史上最多といえる11部門で受賞している。例外が作られるときは、例外のスケールも大きい。
第82回アカデミー賞の行方を予想するには、アカデミー賞の前哨戦といわれるゴールデン・グローブ賞や全米批評家協会賞などでノミネートや受賞などしている作品が今年の有力作品となるが、『タイタニック』に次ぐ歴代興収をたたき出している『アバター』や、『ジュノ』のジェイソン・ライトマン監督の『マイ・レージ、マイ・ライフ』、人種問題をとりあげた『プレシャス』、イラクに駐留するアメリカ軍兵を描く『ハート・ロッカー』などが作品賞の有力候補だ。
また、映画『マイ・レージ、マイ・ライフ』で主演を務めた容姿端麗な俳優の一人、ジョージ・クルーニーも主演男優賞有力とみられている。しかし個性派のベテラン俳優モーガン・フリーマン『インビクタス/負けざる者たち』も強力だ。果たしてどんな結果が出るのか? まずは2月2日のノミネーション、そして3月8日(現地)の授賞式に注目したい。アカデミー賞のジンクスは破られるのか?
映画『チャイナタウン』は1月22日午前9:30よりWOWOWにて放送