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新しい『スパイダーマン』は『バットマン ビギンズ』のように暗い雰囲気に

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再起動した『スパイダーマン』はどこへ行く?
再起動した『スパイダーマン』はどこへ行く? - Tony Barson / WireImage / Getty Images

 大ヒット映画『スパイダーマン』のシリーズ4作目にあたる作品は、続編ではなくシリーズを再起動させる新章になることが正式に発表され、世界中の映画ファンに大きなショックを与えたばかりだが、少しずつ新しい『スパイダーマン』映画について明らかになってきた。

 エンターテインメント・ウィークリー誌のブログ版が伝えたところによると、新しい『スパイダーマン』映画はクリストファー・ノーランを監督がバットマンシリーズをリセットして、誕生秘話を描いた『バットマン ビギンズ』のようになるとのこと。映画の雰囲気も『バットマン ビギンズ』のようにダークでシリアスなトーンになり、今どきのスパイダーマンシリーズに生まれ変わるそうだ。

 今回のシリーズ再起動の正式が発表がある前に、シリーズ4作目の脚本を執筆していたのはジェームズ・ヴァンダービルトデヴィッド・リンゼイ=アベアーゲイリー・ロスという有名脚本家たちだが、かねてから原作のコミックで描かれているキャラクターをそのまま映像化したいと考えていたサム・ライミ監督はどの脚本の出来にも納得しなかったと伝えられている。映画サイトMovieholeによれば、ソニー・ピクチャーズの内部情報として、ライミ監督が却下してきたシリーズ4作目の脚本はどれもシリーズ3作目の焼き直しのようで、悪役が多すぎてストーリーを詰め込みすぎていたそうだ。その最悪な脚本ができあがるのと同時に完成したのが、ヴァンダービルトが執筆したシリーズを再起動させる脚本で、そちらはずっと良くできていたそうだ。しかしながら、これまでの『スパイダーマン』シリーズにあったようなユーモアはなくなってしまったようで、シリアスなスパイダーマンが『バットマン ビギンズ』と同じように新しい大ヒットシリーズの幕開けとなるかは疑問である。

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 世界的経済危機の影響を受けているハリウッドとしては、映画の質や出来を抜きにすれば、今回の再起動の決定はビジネスとしては正しいとみられている。シリーズを重ねるごとに膨らむ制作費とキャストの出演料を、シリーズを再起動させ、若返らせることで若手監督や俳優の起用でコストを抑えることができ、過去のシリーズでライミ監督が行ったことを焼き直すことで無謀な賭けにでないですむという安心もある。新しい『スパイダーマン』映画では、スパイダーマンことピーター・パーカーが高校生という設定なので、第2のザック・エフロンロバート・パティンソンテイラー・ロートナーといったティーンエイジャーに人気がでそうな若手俳優を起用すれば、若い層の熱狂的なファンを獲得することもできる。また、新しい『スパイダーマン』映画はデジタル3D映画として製作される見込みなので、通常の映画より入場料金が割高な3D上映は興行収入に貢献することができる。撮影開始の延期が決定し、当初予定されていた全米公開日、サマーシーズン最初の週末である2011年5月6日から後にずれることは大ヒットのチャンスを逃すことであり、公開延期されるのなら別の選択肢である「仕切り直し」を選んだのであろう。

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 しかしながら、シリーズを支えてきたファンの心情はどうであろう。『スパイダーマン』シリーズのファン層は、世界中でヴァンパイアブームを巻き起こした『トワイライト』シリーズのように若い女性だけではなく、スパイダーマンの原作コミックをずっと読み続けてきた30代、40代やライミ監督のファンもいる。バットマンは、ティム・バートン監督版『バットマン』から16年後に『バットマン ビギンズ』を公開したが、『スパイダーマン』のシリーズ1作目は2002年公開されており、予定通り新しい『スパイダーマン』映画が2012年に公開されるのなら、たった10年しか経っていない時に観客は再びスパイダーマンの誕生秘話をみることになる。10年経って映画の技術は格段に進歩したが、人々の記憶の中には高層ビルの合間を飛び移るトビー・マグワイア演じるスパイダーマンの姿が残っているのではないだろうか。

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