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地下アイドルが秋葉原に立つポスターがロッテルダム映画祭で人気、チケット完売!

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白石和彌監督
白石和彌監督 - Photo:Harumi Nakayama

 第39回ロッテルダム国際映画祭の新鋭監督をピックアップした「ブライト・フューチャー」部門で、白石和彌初監督映画『Lost Paradise in Tokyo』が上映された。

 ヒロイン役の地下アイドルが東京・秋葉原に立つポップなポスターが効いたのか、チケットがソールドアウトになる人気を呼んでいる。白石監督は中村幻児監督が塾長を務める映像塾の3期生で、卒業後は若松孝二奥田瑛二行定勲犬童一心など名だたる監督の元で「カチンコを握りしめ、鉄拳をもらう日々(笑)」(白石監督)を約12年間過ごしてきた元敏腕助監督。

 満を持して監督デビューした『Lost Paradise in Tokyo』でSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2009のSKIPシティアワードを受賞すると、釜山国際映画祭、ドバイ国際映画祭と立て続けに国際映画祭に招待され、今回のロッテルダム映画祭はヨーロッパ・プレミア上映となる。白石監督は「初監督作でいきなり釜山やロッテルダムに参加できて本当に良かった。上映後に『ありがとう』と声を掛けていただいたり、町中で『君の映画が面白かったから今日も観に来た』と二度も観に来てくれたおじさんがいたり、うれしいですね」と興奮を隠せない。

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 映画は、白石監督と映画『ある朝スウプは』の監督として知られる高橋泉とのオリジナル脚本で、知的障害者の兄(菟田高城)、営業成績の悪さから会社で肩身の狭い思いをしている弟(小林且弥)、そして兄の性処理のために呼んだデルヘリ嬢で地下アイドルの顔を持つ聡子(内田慈)という、社会の片隅で生きてきた3人が出会い、パラダイスを目指してある仕事に手を出すほろ苦い人間ドラマ。製作費300万円、撮影日数10日間の低予算映画ながら、かつての仕事仲間がスタッフとして手弁当で駆け付け、奥田も役者として出演するなど、今までの人脈をフル活用した豪華メンバーがサポートしている。白石監督は「1カットの中にアイデアを盛り込み、映像を豊かにしていく技術的な面は行定監督の現場が本当に勉強になりました。作家性の方は、知らず知らずのうちに若松監督の生き方や社会の見方に影響を受けていたんだなということを、今回監督してみて気付きました。父の息子の関係に似ているかもしれません」と振り返る。

 ちなみに映画を観た行定監督からは「嫉妬する」という最大の褒め言葉をいただいたが、若松監督からは「役者の使い方とか褒めてくれましたけど『あと10分切れば傑作だ』と(苦笑)。次回作のモチベーションにしたいと思います」と早くも、新たな闘志を燃やしていた。(取材・文:中山治美)

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