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実験映画を撮り続ける日本人映像作家に世界中が注目!3年連続ロッテルダム映画祭に出品

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映像作家の牧野貴
映像作家の牧野貴 - Photo:Harumi Nakayama

 映像作家の牧野貴が、3年連続でオランダ・ロッテルダム国際映画祭に出品されるという栄誉を得た。2008年に初参加した時は映画祭スタッフに自転車で出迎えられ、そのままホテルまで運ばれるという軽い扱いだったが、牧野は「年々待遇もアップしています(笑)。何より、ココに来るといろんな人との出会いでネットワークが広がったのがうれしい」と常連監督として映画祭を伸び伸びと謳歌(おうか)していた。

 日大芸術学部出身の牧野は、映画『ピアノ・チューナー・オブ・アースクェイク』で知られるクエイ兄弟の下で学んだこともある実験映画界の寵児だ。現在は、ポスト・プロダクション会社「ヨコシネ」に所属し、フィルムをDVDに変換作業するテレシネカラリストを専門職にしつつ、作品を発表。一コマに複数の画像を重ね合わせていく多重露光撮影したフィルムに、米ミュージシャンのジム・オルークの音楽とコラボレーションした『Elements of Nothing』が2008年の同映画祭短篇映画コンペティション部門に選出された。

 賞は逃したものの、技術的な高さと哲学を感じさせる作風が高い評価を得て、以後、香港、米国、ポーランド、ドイツ、オーストラリアなど世界各国の映画祭から招待を受けること多数。2009年には遂に、クロアチアで開催される世界最大の実験映画祭「エクスペリメンタル・フィルム&ビデオ国際映画祭」でグランプリを獲得。日本でも、同じくジムと共作した『The World』(2009)などが東京・吉祥寺バウスシアターで劇場公開されるという快挙を成し遂げた。

 しかし一般の人にとって実験映画はなじみが薄いが、牧野は「実験映画は、誰に見せても、それぞれ違うイメージを投げかけるのが面白い。特に音にこだわっていて、僕の映像にジムの音楽が加わると、そこにストーリーが生まれてくるんです」と、その魅力を語る。今年6月からは、N.Y.など米国5都市のシネマテークでの上映ツアーも決定。今や連日大量に届く、世界各国からの映画祭のお誘いや配給依頼のメールに手が負えなくなっているそうで「作品を作り続けることには変わりはないが、今後どのように自分の活動を展開させていくのか考慮中」と映像作家としての岐路に立っているようだ。(取材・文:中山治美)

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