みうらじゅん、 感動映画にはエロ本を持参!映画泥棒の人は女性と意外な知識も!「そこがいいんじゃない!」
24日に発売された単行本「そこがいいんじゃない! みうらじゅんの映画批評大全2006-2009」について、著者のみうらじゅんに直撃インタビューを敢行した。同単行本は、映画専門誌「映画秘宝」で連載中のコラム「そこがいいんじゃない!」をまとめたもので、みうら流映画の楽しみ方が詰まっている。
紹介されているのは映画『ごくせん THE MOVIE』『愛の流刑地』『旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ』など42本。SF、ホラー、アクションなど、B級映画を好んで取り扱ってきた雑誌「映画秘宝」としては、まさに異色のラインナップである。「秘宝でも扱わないような映画を紹介するんだから、ここに載っているのはカルトムービーの中のカルトムービーなんですよ」とみうら独自の持論を展開。
また、この本で紹介されている映画は修行の成果ということらしい。「映画が面白くないなんて当然あるわけで、どうごまかすかということなんです。だから一時期は、映画『涙そうそう』とか、泣く映画ばかり観ていました。そういうのを“涙のカツアゲ映画”と呼んでいたんですけど。だからそういう映画を観るときには必ずエロ本をカバンに入れることにしたんですよ。泣きそうになったら、『おれ、かばんにエロ本が入っているんだ』と考えるようにして。そうしたらスーッと涙が引いていくんですよ。そんなもんなんですよ。泣かないようにすることって己が己に課した修行なんです。全然興味のない韓流映画を観ても、エロ本を持っていると思ったら強かったね」と力説。そんな映画との格闘の様子がこの本には克明に記されている。
これらの映画は、日々の映画館通いの中から選択されたもの。「ごちそうになっている身分なのにまずい、とは礼儀として言えないでしょ」という理由から、必ず劇場に行ってチケットを購入して観ているという。そんな映画館通いの中で、最近気になっているのは「(映画の予告編で流れる、頭がカメラになっている)映画泥棒の人。誰にも興味を持ってもらえないんですけどね」と嘆きながらも、どこかその状況が楽しくて仕方ないという様子。そして、「実はあれ女の人なんですよ。よく見てください、女の体をしていますから。貧乳ですけどね」と意外な情報を付け加えてくれた。
みうらの映画紹介文には特有のユーモア感覚に彩られて爆笑必至なのだが、その奥底には映画に対する深い愛情がある。そしてそれがどんなに世間的に評判が悪い映画であっても、そこからすてきなところを見つけ出し、「そこがいいんじゃない!」と断言する力強さがここにはある。人が見ないものを見る達人、みうらのコラムを読めば、映画が観たくなってくること間違いなしである。
「そこがいいんじゃない! みうらじゅんの映画批評大全2006-2009」は洋泉社より発売中
価格(税込み:1,365円)