ディカプリオ『シャッター アイランド』が全米第1位!公開延期が功を奏した? -2月22日版
全米ボックスオフィス考
バレンタインデーが終わった翌週末は、映画『バレンタインデー』が王座を退き、レオナルド・ディカプリオの新作サスペンス・スリラー映画『シャッター アイランド』が全米ボックスオフィスのナンバーワンに輝いた。
レオとマーティン・スコセッシ監督のコラボは、アカデミー賞にも輝いた2006年度映画『ディパーテッド』以来。このゴールデン・コンビは今回も大成功を収め、『シャッター アイランド』はオープニング週末に推定4,110万ドル(約37億円)という数字をたたき出した。同作品の公開予定は、当初去年の秋だったが急きょ今年の2月公開に変更された。このことから、一部では作品の出来を疑う声も聞かれたが、公開時期がずれ込んだことによりスタジオ側がPRにもっと時間をかけられたことがかえって功を奏したようで、結果的に配給のパラマウント・ピクチャーズが推定した予想週末興行収入を上回る売り上げをたたき出すことができた。(1ドル90円計算)
第2位は、先週の第1位から70,4パーセントも落下してしまった『バレンタインデー』で1,670万ドル(約15億300万円)の売り上げ。やはりこの映画は、先週の日曜日がバレンタインデーだったことにうまく便乗した季節もの作品だったといえそうだ。とはいうものの、映画のヒット要素は半分が公開時期のタイミングにあるわけで、推定製作予算5,200万ドル(約46億8,000万円)で現在までの総合興行収入は8,700万ドル(約78億3,000万円)を上げていることから、タイミング作戦が成功した例といっていいだろう。
今週の第3位は驚くなかれ、先週第4位からワンランク・アップの返り咲きで、映画『アバター』の1,620万ドル(約14億5,800万円)。公開映画館数が先週よりも104館減って2,581館となっていることをみても、このカムバック劇は『アバター』の持つ底力を見せ付ける証拠となっている。封切り後10週目にして、降下率がいまだに31.2パーセントと比較的低い数字なのもすごい。
第4位は、『アバター』の逆転劇でふるい落とされてしまった映画『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』で1,530万ドル(約13億7,700万円)の成績。若年層をターゲットにしているため、客層がある程度限定されてしまう作品ではあるものの、封切り後たったの2週目にして公開10週目の『アバター』にあえなく逆転されてしまうとは、少々残念な結果といえよう。
今週トップ5の最後は、映画『ウルフマン』の990万ドル(約8億9,100万円)。先週の第2位から、68.6パーセント減という大降下である。推定製作費1億5,000万ドル(約135億円)、公開2週目現在までの興行収入成績が5,036万ドル(約45億3,240万円)というのは、製作・配給のユニバーサル・ピクチャーズにとっては痛い数字である。
さて次回のチャート予想だが、週末公開予定のラインナップが少々パンチにかけている。ただ、次回トップ5に食い込むかもしれないという作品がかろうじて2本ある。一つは、ブルース・ウィリスがコメディアンのトレイシー・モーガンと組んだ刑事コメディー映画『コップ・アウト』(原題)。予告編からして二番煎じな感じがプンプンする作品で、ブルースの知名度からある程度の売り上げはいくかもしれないが、全盛期の彼がヒットさせた映画の足元にも及ばないような成績になりそうだ。
もう一つは、日本ではあまり知られていないが、アメリカでは映画『ヒットマン』で知名度を上げたティモシー・オリファント主演のホラー映画『ザ・クレイジーズ』(原題)。小さな町の貯水池に人間が正気を失う毒が投げ込まれ、町中の人たちが徐々に残忍な異常者に変わって血みどろ劇を繰り広げていく……というストーリー。B級ホラー・ファンがヨダレをたらしそうなあらすじである。恐怖映画に飢えているホラー・ファンたちが、映画館に押し寄せて意外な好成績を記録する可能性ありだ。(取材・文:神津明美 / Akemi Kohzu)