これが真実のイラク戦争!アメリカ海軍兵士が前線で撮影した衝撃映像がドキュメンタリーに
イラク戦争の本当の姿をとらえたドキュメンタリー映画『Severe Clear』(原題)について、撮影者のアメリカ海軍兵士マイク・スコッティに話を聞いた。本作は、「イラクの自由作戦」の前線で戦ったアメリカ海軍兵士マイクが撮影した戦争ドキュメンタリー。その内容から、恐らくブッシュ政権時では公開することが不可能だったに違いない作品だ。
「アフガニスタン紛争から任期を終え、いったんは大学で修士号を取ることを考えていた。しかし部隊の指揮官にイラク戦争では経験豊富な兵士が必要だと言われてね。これまで戦地で共に戦ってきた仲間をイラクに向かわせて、僕は戦わないなどという選択肢はなかった」と従軍への志望理由を明かすマイク。そして、記録のために戦地での出来事を残そうと決めた。それは、内部の者しか知ることのできない貴重な映像となった。
当時彼らは「イラクの自由作戦」の名の下で戦っていた。しかし核兵器がないことが判明し、その任務のほとんどは悪化した治安の管理というものになった。マイクは「核兵器がなかったことは関係ない。僕はあくまでアメリカ海軍の一員として、任務を遂行してきただけさ。それに僕はどんな環境下でも道徳的な判断を下してきたし、そこに恥や後悔はない。政治的問題は僕には関係ないことだと思う」と述べる。ちなみに任務を遂行する上で、兵士たちがアラビア語やクルド語を少しでも理解していれば状況は変わっていたようにも思える。その点はマイクも「僕たち兵士は毎日生き残ろうとしているわけだから、当然その国の言語を話せる兵士がいたら、やみくもに地雷を踏むようなことはなかったかもしれない。それに多くの危険を回避できたはずだ」と認めている。
サダム・フセインの宮殿に入ったときには、自分たちが歴史の一部になったような気がしたと明かすマイク。映像には道端に転がっている死体や燃え尽きた家など、生々しい戦場の姿が記録されている。そして不眠不休での銃撃戦や、体調を崩してしまう兵士の姿などの壮絶な場面も。本作には、ニュースでは伝えられることのない本当の戦争の姿がある。(取材・文:細木信宏/Nobuhiro Hosoki)