『風の谷のナウシカ』ブルーレイで登場!デジタル処理嫌いの宮崎駿監督も涙
25日、映画『風の谷のナウシカ』が7月14日にブルーレイディスクで発売されることが発表になり、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが、ブルーレイ化に至るまでの道のりと宮崎駿監督の心境を明かした。
同作をブルーレイディスクで発売する企画は、映画『崖の上のポニョ』のブルーレイ化を祝った打ち上げの日から始まった。当初、ジブリとディズニーの関係者は、次回作は映画『天空の城ラピュタ』で『ナウシカ』は最後(にブルーレイ化)だと思っていたそうで、鈴木プロデューサーの「次は『ナウシカ』にしませんか」の一言に驚きを隠せなかったようだ。しかし、このときすでに、鈴木プロデューサーの頭の中には「いつの日か、公開時のきれいなネガに復元してみたい」という、『ナウシカ』にかかわった者としての長年の宿題が浮かんでいたという。
デジタル処理を施せば、昔の作品をきれいにお色直しさせることなど朝飯前だ。しかし、同作の監督である宮崎監督が、昨今のデジタル処理に対して否定的な意見の持ち主だということは、長年の戦友である鈴木プロデューサーが一番よく知っていた。宮崎監督いわく、「色にぎらつきのある、品のない作品になってしまっている。ああだったはずがない。あれは作った人に対する冒涜(ぼうとく)ですよ」なのだそうだ。そこで宮崎監督が出した条件は、「公開時のものを尊重し、それ以上きれいにしない。プリントを焼く過程で付いた傷は取る。色パカ(色の間違い)は、そのままにする」など。これらを配慮し、約2か月かけてデータ化した。
出来上がった作品を観ることを嫌がった宮崎監督を鈴木プロデューサーは説得し、試写会に連れて行ったという。「実は試写の2、3日前から宮さん(宮崎監督)がそわそわして落ち着きがないことを僕は知っていた。『ナウシカ』との再会を待つ、宮さんは明らかに興奮していた」と鈴木プロデューサーは明かした。
そんな宮崎監督は、見終わってまず一言、「古ぼけて観えた」とコメントしたという。さらに、「鈴木さん、技術的に、僕らは、随分と遠くまで来てしまったんだね」と改めて約30年の間にいかに進歩してきたか実感した様子で、最後に「必要な個所に緑を少し増やしてほしい」とだけ注文したという。宮崎監督と一緒に試写を観たスタッフによると「泣いていましたよね。あれは……」という目撃情報があり、本作の仕上がりに宮崎監督は感慨深い様子だったことがうかがえる。鈴木プロデューサーも、今回の出来栄えに「『ナウシカ』は、まだ終わっていない」ということを実感したようだ。
本作は、産業文明が壊滅し、不毛の地と化した大地に腐海と呼ばれる世界が広がった。そんな世界で風を呼び、蟲(むし)と心通わせる心優しき少女ナウシカが、再び人々を希望へと導いていく愛の物語。ジブリ不朽の名作がブルーレイでどんな姿に生まれ変わったのか、宮崎監督も納得の仕上がりをぜひ確認したい。
『風の谷のナウシカ』ブルーレイはウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンより7月14日発売(税込み:7,140円)