香椎由宇と共演した奥村公延の遺作が公開、「あと1年早く公開できたら……」
27日、渋谷・ユーロスペースにて映画『掌の小説』の初日舞台あいさつが行われ、俳優の寉岡萌希、中村麻美、長谷川朝晴、星ようこ、菜葉菜、内田春菊、監督の坪川拓史、三宅伸行、高橋雄弥、音楽を担当した関島岳郎らが登壇した。
映画『掌の小説』は、川端康成の短編小説を、日本の若手気鋭監督らが映画化した4編のオムニバス映画。4作とも桜をモチーフにしたストーリーなのだが、撮影が行われたのは3年前で、やっと公開にこぎつけたという。第2話に出演している長谷川は、撮影時のエピソードを聞かれ「正直何にも覚えてないんですよね……」とぶっちゃけ、会場や登壇者たちの苦笑を誘った。第3話に出演している菜葉菜は「わたしは覚えていますよ! わたしはこの昭和顔がずっとコンプレックスだったんだけど、坪川監督に撮影前に『その昭和顔がいい!』と言われてうれしかったんです。でも、撮影のときはこけしと呼ばれて、スタンドインにこけしを使われたりしたんです」と少し恨めしそうに語っていた。
楽しい雰囲気で行われていた舞台あいさつだが、3年前に撮影されたこの作品について、「あと1年早く公開できたら……」と監督たちが声を詰まらせるシーンも。昨年末の12月24日に死去した俳優・奥村公延が第4話に出演しており、この作品が遺作となったのだ。「去年公開していたら、奥村さんもこの舞台あいさつにいらっしゃったと思います。でも、きっと今日もこの会場のどこかにいるんじゃないかな」と、第3話の坪川監督が語る。奥村が出演している第4話の高橋監督は、声を詰まらせながらも「奥村さんは女性が大好きで……。香椎由宇さんの手を握るシーンがあったんですが、撮影が終わっても香椎さんの手を離さなかったんですよ」と撮影時のエピソードを語っていた。
俳優・奥村公延の遺作ともなった本作は、桜をモチーフに、大正時代の美しい日本の風景を描き出した映像詩集。気鋭の若手監督たちが、彼らならではの監督の日本の美を描き出している。
映画『掌の小説』はユーロスペースにてモーニング&レイトショー公開中