不良映画は現代社会の象徴!? 不良映画がなぜヒットするのか
2009年の興行収入ナンバーワンとなった映画『ROOKIES -卒業-』をはじめ、映画『クローズZERO』シリーズなど、ヤンキーたちの青春を描いた不良映画が爆発的なヒットを記録している近年の邦画界だが、そこには、現代社会を象徴する理由が秘められているという。
不良映画の元祖といえば、80年代に一世を風靡(ふうび)した映画『ビー・バップ・ハイスクール』を思い出す人も多いだろう。清水宏次朗と仲村トオルがケンカに明け暮れる不良高校生コンビを演じ、彼らのトレードマークだったリーゼントやボンタンは、当時のヤンキーたちのマストアイテムとして定着。そして、殺伐としたケンカばかりではなく、不良なりの正義や、仲間との友情、マドンナとの恋愛といった要素を盛り込んだストーリーは、ヤンキーのみならず、幅広い層のハートをガッチリとつかみ、シリーズ化されるほどの人気作となった。
そんな『ビー・バップ・ハイスクール』の流れをくむ不良映画が、ここ数年の邦画界を席巻しまくっている。松田翔太がヤンキー高校生を熱演した映画『ワルボロ』、小栗旬の代表作となった『クローズZERO』シリーズ、お笑い芸人、品川庄司の品川ヒロシが脚本・監督を務めた映画『ドロップ』など、不良映画が次々とヒットを飛ばす中、昨年は不良高校生たちが野球で甲子園を目指す『ROOKIES -卒業-』が、興行収入86億円に迫る空前の大ヒットを記録した。
これほどまでに不良映画が注目される理由として考えられるのが、閉塞感の広がる日本の現状だ。不良たちは地元意識が強く、家族や仲間をとことん大切にする。しかも、早熟な彼らは、若いころから金銭的に自立し、身の丈に合った堅実な生活を送ることが多いという。そんな昔ながらの価値観や、地に足の着いた実直な生き方が、先行きの不安定な今の時代に必要とされているのではないだろうか。
また、女性層の圧倒的な支持を集めたのも、不良映画人気の要因だ。腕力と行動力で自分のテリトリーを広げていく不良たちには、男性本来の野性的な魅力が備わっている。より強い遺伝子を潜在的に求める世の女性にとって、最近のやわな「草食男子」よりも、パワフルでガッツのあるヤンキー的な男に魅了されてしまうのかもしれない。
ケンカで培った根性とパワー、そして、仲間との結束力で未来を切り開き、女性にもめっぽうモテる不良たち。彼らの熱い青春を描いた不良映画には、現代社会の暗いムードを打ち破るヒントが隠されているのである!
映画『ROOKIES -卒業-』は5月4日よる7:30よりWOWOWにて放送