驚異の返り咲き!『ヒックとドラゴン』が再び全米1位に! -4月26日版
全米ボックスオフィス考
第1位から落っこちた後に、再度トップに返り咲くという話はたまにあるが、第1位から落ちて4週間後に再びナンバーワンになった映画は前代未聞である。だが、今週ついにその偉業を成し遂げた映画が現れた! それは、映画『ヒックとドラゴン』である。
先週の賛否両論で大接戦だったトップ争いから1週間が経過した。先週『ヒックとドラゴン』と首位争いの末、からくも栄冠を勝ち取った映画『キックアス』(原題)が、今週は第5位まで落下。先週のリベンジ! とばかりに、今週は1,535万ドル(13億8,150万円)をたたき出し、『ヒックとドラゴン』が堂々のナンバーワンとなった。(1ドル90円計算)
前の週と比較してもたった22パーセントの降下率で、今週末の大型リリース作品中一番落下幅が少ない作品となっている。また、公開後31日にして1億7,830万ドル(約160億4,700万円)の国内興行収入を上げており、去年大ヒットした3Dアニメ映画『モンスターVSエイリアン』と比べると出だしのパンチに欠けたが、時間が経つにつれジワジワと口コミなどで評判を上げ始め、結局は『モンスターVSエイリアン』を超える成績となった。ドリームワークス作品である『ヒックとドラゴン』は、同社の大ヒットアニメ映画『カンフー・パンダ』に次ぐ大ヒットとなっており、果たしてこれから興行収入がどこまで延びるかに注目が集まっている(映画『シュレック』シリーズは含まない)。
今週第2位は、初登場で映画『ザ・バックアップ・プラン』(原題)。ジェニファー・ロペス久々のラブコメ映画で3,280館・推定3,600スクリーンとかなりの大型公開だったのだが、結果は1,220万ドル(約10億9,800万円)と少々元気がない。全米第2位というと非常に聞こえがいいのだが、実はスタジオが気にするのはランキングはもちろんのこと、各劇場あたりの売り上げなのだ。上映館が多ければ多いほど劇場を確保するための費用がスタジオ側にかかるわけで、それだけ1館あたりの稼ぎが良くないと割に合わないのである。最近の類似作品に、映画『ベイビー・ママ』という作品があったが、この作品は2,543の上映館で週末ボックスオフィス1,740万ドル(15億6,600万円)の収入を上げており、ビジネス的にはこちらの方が成功ということになるのだ。また、『ザ・バックアップ・プラン』(原題)は、ジェニファーにとって久しぶりのメジャー作品なのに、残念ながら現時点では過去の主演作品と比べると最低の成績となっている。
第3位は、映画『デート・ナイト』(原題)で1,046万ドル(約9億4,140万円)の売り上げ。公開後17日現在で、6,330万ドル(約56億9,700万円)のトータル興行収入を記録している。
第4位は、こちらも初登場で映画『ザ・ルーザーズ』(原題)の940万ドル(約8億4,600万円)。2,936館・3,300スクリーンの大型ロードショーで、ワーナー・ブラザーズいち押し作品だったにもかかわらず、規模の割には無残な結果に終わってしまった感があり、関係者をガッカリさせている。ちなみに配給側によると、60パーセントの観客は男性、全体の64パーセントが35歳以下だったという統計が出ている。
第5位は、『キックアス』(原題)で934万ドル(約8億4,060万円)の売り上げ。先週『ヒックとドラゴン』と激戦の末に第1位を獲得した『キックアス』(原題)だが、配給側が金曜から勘定をし始めるべきの週末興行収入の中に、木曜日の先行ロードショー分も含めて売り上げを報告したと言われており、業界内では『キックアス』(原題)の先週末全米チャートトップがまがいものであると物議を醸し出している。このためいくつかの著名業界誌では、先週末時点で『キックアス』(原題)の木曜先行ロードショー分の売り上げを抜いて計算をした額を掲載し、先週の全米第1位は『ヒックとドラゴン』だと発表しているところもある。
さて、次回チャート入りが予想される新作ラインナップだが、トップ3入りほぼ確実なホラー映画の名作リメイクからご紹介。あの映画『エルム街の悪夢』のフレディ・クルーガーが装い新たに帰ってくるのだ。映画『ウォッチメン』のロールシャッハを演じたジャッキー・アール・ヘイリーが新フレディを演じる。若い映画ファンの中には、この映画を劇場で観たことのない人もいるかもしれないが、これは大画面で観るとかなり迫力があって楽しめるので、一見の価値あるリメイク映画の一本だ。
お次は、ホラーとは正反対のファミリー映画『ファーリー・ベンジェンス』(原題)。さまざまなカワイイ動物たちの住む平和な森が、開発者の手によって壊滅の危機にさらされ、開発者に立ち向かえるのは自分たちしかいないっ! と動物たちが一致団結して立ち上がるというお話。まるで動物版の映画『ホーム・アローン』のような映画で大人から見ると何ともアホらしい映画に感じるのだが、これが子どもたちにとってはメチャクチャかわいく面白い映画であるため親は同行するしかなく、気が付くとかなりの大ヒット……という図式が容易に想像できるのだ。
そして、ついに公開されるジム・キャリーとユアン・マクレガーの実話を基にした異色なゲイ・コメディー映画『フィリップ、きみを愛してる!』だ。トップ5に入るかはわからないが延期に延期が重なった末、ついに公開される作品なので、興行成績に注目が集まっている。(文・取材:神津明美/Akemi Kohzu)