ゾンビ映画の巨匠ジョージ・A・ロメロ、リメイクものゾンビにもの申す!
映画『サバイバル・オブ・ザ・デッド』の公開が控える、ゾンビ映画の巨匠ジョージ・A・ロメロ監督に映画制作へのこだわりを聞いた。
まずロメロ監督は、「決して足の速いゾンビは作ろうとは思わない」と自身の映画に登場するゾンビへのこだわりを明かしてくれた。「僕の最初の作品で、『ゾンビはいったん死んでいるから、身体がメチャクチャだ』と保安官が言うシーンがあるんだけど、まさにその通りで、ゾンビが走り出したら、足が折れちゃうと思うんだよ」と、意外にも現実的なことを考えているようだった。
ロメロ監督の作品は、たびたびリメイクされているが、それについてはあまり好ましくは思っていないようだ。その理由は、リメイク作が納得いくものに仕上がっていないからで、「『ゾンビ』が、『ドーン・オブ・ザ・デッド』としてリメイクされたときも、最初の20分くらいは良かったけど、後はまるでビデオゲームを観ているような感じだったよ」と話した。また、1973年の映画『ザ・クレイジーズ』をリメイクし、今年アメリカで公開された映画『ザ・クレイジーズ / The Crazies』(原題)についても、ベトナム戦争へのいら立ちも込められていた映画なのに、ただのSFホラー映画みたいになってしまったと嘆いていた。しかし、「リメイクをした監督たちは良い仕事をしていると思う、ただ、僕が制作するような映画とは違うというだけなんだ」とも付け足していた。
彼のゾンビ映画には、必ずコメディー要素も盛り込まれていることも特徴だが、それはホラー漫画を読んで育ったことが影響しているそうだ。「その中にはひどいジョークがたくさんあって、それに驚かされ、笑っていたんだ」と話し、自分にとってはコメディー要素が必要不可欠だと明かした。また、自分が好きな映画を撮れるようになった昨今は、コメディー要素が増えてきたという。
ロメロ監督は、今一番好きな監督は映画『パンズ・ラビリンス』のギレルモ・デル・トロだと明かし、「自分の作りたい映画を、こだわりを持って作っているから」だと、自身と似ているところに共感しているようだった。また、ジョン・カーペンター監督の新作映画『ザ・ウォード / The Ward』(原題)にも期待していると話し、彼にエールを送っていた。
あと2、3本はゾンビ映画を撮りたいというロメロ監督。「ゾンビ映画を愛しているから、こだわり続ける」と語ってくれた。あらゆるジャンルにトライする監督がいる中で、1つのジャンルにこだわって製作し続ける彼には、また別の魅力が感じられた。(取材・文:細木信宏 Nobuhiro Hosoki)