不朽の名作『ベスト・キッド』リメイクが全米第1位に! -6月13日版
全米ボックスオフィス考
カラテじゃなくてカンフーになってもいい映画はいいのだっ……というわけで、ウィル・スミスの息子ジェイデン・スミス主演、故ノリユキ・パット・モリタの師匠ミヤギに代わり、ハンをジャッキー・チェンが演じ、このたびリメイクされた映画『ベスト・キッド』が今週末初登場を飾り5,570万ドル(約50億1,300万円)をたたき出し全米ナンバーワン映画に輝いた。(1ドル90円計算)
全米3,663館・推定5,300スクリーンで公開されたこの作品は、ここのところ低迷していたボックスオフィスの活性剤となり、過去における同様作品でマーシャルアーツ(武芸)を扱った映画の中でも、映画『ラッシュアワー2』(こちらもジャッキー・チェン主演)に次ぐ大ヒットとなった。
『ベスト・キッド』は、ジャッキー・チェンを除いてとりわけ大スターの出ていない映画だ。それでもこの作品が大ヒットとなった要因の一つに、元気の出るストーリーが挙げられている。オリジナルと同様に、引っ越してきたばかりの少年が地元のイジメられっ子に目を付けられてコテンパンにされるのだが、努力の末に強くなって最後はイジメっ子たちをギャフンといわせた上に、尊敬の念を得る……というストーリーである。時代に関係なく、いつ観ても気持ちのいいストーリーで、それが万人に受け入れられたと思われる。配給会社ソニー・ピクチャーズの調査によると、観に来ていた観客の53パーセントは女性、そして56パーセントは25歳未満、全体の45パーセントが親子連れであったという結果が出ている。
代わって第2位は、こちらも1980年代のリメイク作品で映画『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』。3,535館・推定5,200スクリーンで公開された本作は、人気テレビ番組のリメイク版で2,570万ドル(約23億1,300万円)の興行成績を上げた。映画『G.I.ジョー』『トリプルX』『コン・エアー』などのような同ジャンルアクション映画のデビュー週末と比べると、少々下回る成績だったという統計が出ている。
第3位は、映画『シュレック フォーエバー』で1,580万ドル(約14億2,200万円)。先週と比べて38.1パーセントダウンという比較的小さい降下率で粘り強さを見せている。今週末も新作のラインナップが弱かったら、再び第1位になっていたかもしれない作品である。
2週目で2ランクダウンとなった第4位の作品は、映画『ゲット・ヒム・トゥ・ザ・グリーク / Get Him to the Greek』(原題)で990万ドル(約8億9,100万円)の売り上げ。第5位は、こちらも2ランクダウンでアシュトン・カッチャー主演のラブコメ・サスペンス映画『キラーズ / Killers』(原題)で800万ドル(約7億2,000万円)となっている。
次回のチャート予想だが、これはまず映画『トイ・ストーリー3』の勝利となる可能性大。ピクサーの看板商品ともいえる映画『トイ・ストーリー』シリーズ第3弾で、時期的にも夏休みの真っ最中、おまけに今大流行の3Dときたら……もうボックスオフィスで無敵状態である。今週末は『トイ・ストーリー3』の公開に恐れをなしたか、めぼしい封切り作品がほとんどない。
『トイ・ストーリー3』にあえて立ち向かう封切り作品は、DCコミックのアクション・ヒーローを映画化した作品で、映画『ジョナ・ヘックス / Jonah Hex』(原題)。映画『ブッシュ』で元大統領ジョージ・W・ブッシュを演じたジョシュ・ブローリンがガラリと雰囲気を変えて、アウトローな賞金稼ぎを演じる。ほかにはジョン・マルコヴィッチ、ミーガン・フォックスが共演しているが、果たしてジョシュ演じるアクションヒーローにどれだけ観客が集まるか……というのがヒットのカギである。(取材・文:神津明美 / Akemi Kohzu)