リアルにするには汚く、不快に!ロブ・ゾンビ監督が語るホラー映画の極意とは?
1978年に奇才監督ジョン・カーペンターにより制作されたホラー映画で、オリジナル版が8作品作られている大人気シリーズ『ハロウィン』のリメイク第2作目『ハロウィンII』を制作したロブ・ゾンビ監督に、ホラー映画にかける思いを語ってもらった。
ゾンビ監督は、ヘビー・ロック・ミュージシャンとしても不動の地位を誇る逸材。巨大な電飾666マークが光り輝き、地獄の炎が吹き出す演出で、音楽の場でも、そのホラー界での才能を光らせている。そんなゾンビ監督は、自身が見いだした女優シェリ・ムーン・ゾンビと2002年に結婚。結婚前も結婚後も変わらずゾンビ監督作品に出演し続けている彼女は、もちろん本作でも、その妖艶(ようえん)な美しさを披露している。
ゾンビ監督が制作したリメイク第1作目の映画『ハロウィン』は、オリジナル版のファンをも納得させ、かつ新しいファンも生み出すほどの完成度の高さで、全世界興行収入8,000万ドル(約72億円 1ドル=90円計算)を稼ぎ出した。しかしゾンビ監督は、「『ハロウィン』の1作目を終えたとき、僕は映画を観て『僕にはこれはきれいすぎる』と思った」と話す。1作目では、カーペンター監督が生み出したストーリーに沿いながら、いわゆる『ハロウィン』を描かなければならないと感じていたそうで、1作目を完成させたときは、2作目を作ろうとは思いもしなかったという。
その後、「自分としては最初の映画ではできることをすべてやったという思いもあったからもう何でも良くて、そう、今度は100パーセント違うメチャクチャなものを作ろうと決めたのさ」と一念発起したゾンビ監督。『ハロウィン』の呪縛(じゅばく)から解けた2作目では、原作にオマージュをささげつつ、オリジナルに挑戦している。「映画はきれいであるほど安全な感じがして、何か安心なものを見せているような感じになる。だからこの映画は汚くあってほしかった」と本作への思いを語ったゾンビ監督は、35ミリフィルムの代わりにスーパー16ミリフィルムを採用し、さらに粒子を粗くするために最低限の明かりしかたかないという方法で、2作目を撮影した。そして彼は、「映画全体をもっと汚らしい感じにしたかった。すべてが汚く、不快に見えれば、もっとリアルな感じがするだろう」と独自の理論を本作で展開できたことを明かしている。
1作目で『ハロウィン』に、カーペンター監督版にはなかった、「殺人者の悲哀」を描きこんだゾンビ監督は、今作で、1作目で巻き起こった事件の傷を負う登場人物たちの心情を描いている。ホラー・シーズンのこの夏、ハロウィンのブギーマン、マイケル・マイヤーズの恐怖におびえ続ける登場人物たちの恐怖を、ゾンビ監督こだわりの映像で、満喫してみてはいかがだろうか?
映画『ハロウィンII』は6月19日より全国公開