40年以上を経て未解決…三億円事件の犯人は単独犯か複数犯か?激論闘わす
22日、丸の内の東京国際フォーラムで映画『ロストクライム -閃光-』「ただではすまないトークセッション!」が行われ、作家の宮崎学、精神科医の香山リカ、社会学者の宮台真司、そして本作の原作者で作家の永瀬隼介が登場した。
宮崎や香山、そしてジャーナリストの田原総一朗などが運営するメディア勉強会「フォーラム神保町」とのコラボ企画として実施された本企画。昭和犯罪史上最大のミステリーと呼ばれた、1968(昭和43)年の未解決事件「三億円事件」について、それぞれの論客たちが独自の視点やそれぞれの立場から、事件について鋭く切り込むという趣旨で行われた。
この日の司会を担当した宮崎は「未解決事件が起きるたびに、お前が犯人じゃないかと言われてきました(笑)」と自身が犯人と疑われたグリコ森永事件にかけて軽妙にあいさつ。原作者であり、ノンフィクションライターの永瀬は「犠牲者がいないと言われた3億円事件なんですが、背景を調べていくうちに、事件に人生を狂わされた犠牲者がいることがわかったんです。当時の捜査はどんな風だったんだろうと思っていて調べると、非常に無茶苦茶で、内部分裂をしていました。これは興味深いミステリーが書けるのではないかと思ったんです。この原作は過去と現在を行き来するので、映画化は難しいかなと思っていたんですが、出来上がった作品も過去の再現シーンが非常に迫力があって、原作者としてはとても満足しています」と執筆のきっかけを明かした。
そして宮崎は本事件を非常に効率のいい事件だと解説する。「犯罪を犯すと、これだけの金が得られるけど、どれくらい刑務所に入るかということを考えるんです。まずこれは強盗じゃなくて窃盗ですよね。すると量刑的に5年以上の差が出てくる。そして時効までの期間が短い。非常にコストパフォーマンスが高い犯罪だと言えます」とコメント、さらに単独犯の犯行と読んでいることも明かした。
その理由について、「複数犯の事件で警察に捕まっていないのはまさにグリコ森永事件だけですから(笑)。集団だと必ずどこかで計画が漏れてしまうんですね。グリコ森永事件の場合は、仲間同士に分け前をきちんと分け合ったからうまくいったんだと思います」と億単位の金額が動いた昭和の未解決事件を例に挙げた。そして本作で複数犯説を採用する原作者の永瀬との意見交換が積極的に行われ、会場からも活発な意見が出されるなど大盛り上がりのトークセッションとなった。
本作は、ジャーナリスト出身の作家、永瀬隼介の原作を基に、映画『女囚701号 さそり』『誘拐報道』の伊藤俊也監督が、発生から40年以上を経てなお未解決の「三億円事件」の真相に迫るサスペンス超大作。ある殺人事件の捜査に乗り出した老刑事と若手刑事のコンビが、次第に「三億円事件」の大きな闇に呑み込まれていく……。
映画『ロストクライム -閃光-』は7月3日より角川シネマ新宿ほかにて全国公開