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殺人犯で禁固刑!「レット・イット・ビー」「イマジン」のプロデューサー、フィル・スペクターの人間像にせまる

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ヴィクラム・ジャヤンティ
ヴィクラム・ジャヤンティ - Photo:Nobuhiro Hosoki

 ビートルズ不朽の名曲「レット・イット・ビー」や、ジョン・レノンの「イマジン」など数多くの名曲を世に送り出したプロデューサー、フィル・スペクターのドキュメンタリー映画が完成した。女優ラナ・クラークソンを殺害した罪で、現在は第2級殺人罪で禁固刑になっているこのフィルについて、イギリスのBBCクルーと共にフィルに単独インタビューを行った、監督ヴィクラム・ジャヤンティに話を聞いた。

 フィル・スペクターを描くきっかけについて「僕はこれまで、10歳のころに母親を殺害された作家ジェームズ・エルロイや、IBMコンピューターとチェスをしたガルリ・カスパロフ、そして誰もがモハメド・アリが負けると思っていたジョージ・フォアマンとの試合を、ドキュメンタリー作品として製作・監督してきた。常に天才の苦悩を描いてきたんだ」と言う。

 そんなときに、このフィル・スペクターの殺人容疑を知ったそうで、監督はフィルを「これからあなたは殺人容疑を法廷で争うことになり、かなりのセンセーショナルな事件だから、あなたがこれまで築き上げてきた音楽界での伝説を曲解させてしまうかもしれない。その前に、あなたの口から自分を語るべきだ」と説得したことを明かし、何十年間も応じなかったインタビューを、フィルの自宅で試みることができたと語った。

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 フィルは過去に多くの人に銃を向けるというバイオレンス行為をしており、ジョン・レノンもその被害を受けたことについて、「ジョン・レノンの秘書、メイ・パンの本によると、フィルがジョンの自宅を訪れて、一度天井に向かって銃を撃ったことがあったそうだ。曲の制作上でのトラブルらしいが、フィルはこういうバイオレンス事件をよく起こしていたんだ」と監督は話す。この話にどれほどの信ぴょう性があるかはわからないらしいが、こういった行為が、後の判決に影響を及ぼすこととなった。

 世間では麻薬を常習していたとされているフィルだが、監督はフィルがアルコール中毒であったことが問題で、ラナの事件が起きたのもしばらくやめていた酒を再び飲んだからだとしている。この映画は、メディアでたたかれたフィルよりも、彼の音楽界での業績と個人的な価値観を垣間見られる作品に仕上がっている。(取材・文:細木信宏 Nobuhiro Hosoki)

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