2009年オスカーの目玉作品『プレシャス』の配給権をめぐる争いに法的収束
2009年のアカデミー賞で目玉作品として注目され、脚色賞と助演女優賞を獲得した映画『プレシャス』の配給権について、配給会社「ライオンズ・ゲート」と「ワインスタイン・カンパニー」が争っていた訴訟に法的決着がついた。
2009年1月のサンダンス映画祭でグランプリを受賞し引く手あまたとなった本作。ハリウッドの名プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインが、サンダンス映画祭の際にこの映画の権利を購入したと発表したが、後にこの映画のセールス・エージェントが「配給権はライオンズ・ゲートへ売却した」と発表したことから両社の間で対立が起こった。2009年、両社はお互いを訴え、全米4都市で裁判に。ニューヨークの裁判では、ワインスタインが主張するサンダンス映画祭での深夜の交渉は、有効な権利譲渡にいたっていないと判決が出て、配給はライオンズ・ゲートが担うことになった。さらにロサンゼルスの裁判では、両社の間に和解が成立。こうした裁判の間にも、映画『プレシャス』は劇場公開され、世界で約6280万ドル(約55億円)を稼ぎ出した。ライオンズ・ゲート側は、今回の訴訟が「友好的な和解となった」とコメント。ワインスタイン側はコメントを出していないが、賞取りレースの話題をさらった話題作の配給は、最終的にライオンズ・ゲートの快勝となったようだ。