ハリウッドでのアジア人の疎外感を語る!『プレデターズ』ルイ・オザワ
アーノルド・シュワルツェネッガー主演の『シュワルツェネッガー/プレデター』を、舞台を惑星に置き換えてリメイクしたSFアクション『プレデターズ』で日本刀を片手にエイリアンを倒す日本人の殺し屋ハンゾーを演じる、日系俳優ルイ・オザワに話を聞いた。オザワは日本人の父親と台湾人の母親を持つ、ニューヨーク生まれのハーフで、子役から多くのテレビ、CMに出演している。2010年全米公開の映画『フェア・ゲーム / Fair Game』(原題)では、ショーン・ペン、ナオミ・ワッツとの共演も決まっている期待のハリウッド俳優だ。
Q:ハリウッドで東洋人として活躍するときにいい点と悪い点があれば教えてください。
ハリウッドに携わるすべてのアジア人については語れませんが、アジア人であるということはプラス面とマイナス面が両方関係していると思います。しかしわたしたちにとって素晴らしい役もありますし、これからまだまだ成長の余地のある、エキサイティングな時代にいることは確かです。この成長は始まったばかりですから。わたしは今週から、Miraculous YearというHBOのパイロット番組に携わりはじめました。脚本と製作はジョン・ローガン(『グラディエーター』『ラスト サムライ』『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』)、監督はキャスリン・ビグロー(『ハート・ロッカー』)。ニューヨークの文化的に豊かな芸術家家庭について描いた見事な脚本です。僕は面白い役柄を演じ、パイロット・エピソードでは素晴らしいシーンがあり、脚本の中で僕がアジア人であるということは一切言及されていません。それは結局取るに足らないことなのです。これは僕を非常に喜ばせました。
しかしながら、ほとんどの場合はエンターテインメント業界のアジア人俳優として、わたしはアウトサイダーのように感じています。映画やテレビにおいてほとんどのアジア人俳優がストーリーの欄外的扱いである中で、社会の主流から取り残されたと感じないことは不可能です。わたしは自分の人生が欄外的だと感じながら過ごしているわけではありませんし、わたしは自分のリアルな人生において3次元的な人間ですが、しかし職業においてはそうではありません。わたしが参加する70パーセントのオーディションで、ある程度のアジアン・アクセントを使うよう要求されるという事実に困惑を覚えます。
日本ではどのように思われていますか? 普段アジア人の顔をずっと周りで見ている環境で、「マイノリティである」ということは、あなたにとって妙に感じるでしょう。ここではアジアン・アメリカン俳優というのは、ほとんど前例がないのです。(オザワ氏は純粋な日本人でないため、自分をアジア人俳優とくくっている)渡辺謙やトニー・レオン、役所広司、ジャッキー・チェン、ブルース・リー、浅野忠信、三船敏郎といった名声のあるスターがいないのです。アジア人の役柄のモデルについて、海外を見なければなりません。いつか、アメリカのメインストリームのメディアで、アジアで本当に存在するような豊かで創造性に富んだキャラクターを演じることを夢見ています。そしてその時は近いでしょう。
最近、日本の若者はあまりハリウッド映画をたくさん観ないと聞きました。日本にいるあなたが、わたしたちのアジアン・ストーリーに共感しアジアン・アメリカンの映画をもっと観てほしいと思います。
Q:オザワさんから見た『プレデターズ』の魅力は?
『プレデターズ』の見どころですか? とにかく楽しいですよ! 素晴らしいアクション・シーンがいくつもあるし、クレイジーなスタント、それにローレンス・フィッシュバーン。それに新しい種類のプレデターが登場します。それに僕が、刀で歴史的な戦いをプレデターと繰り広げます!
Q:ご自分に日本人の血が流れているんだなと感じる時はありますか?
いつも日本人であると感じています。例えば、昨晩、うだるように暑く、僕はラーメンがどうしても食べたくなりました。すごくお腹がすいていて、どこででも食べられたのでしょうが、50ブロック以上地下鉄に乗って、お気に入りのラーメン屋に行きました。カウンターしか空いていなくて、そこはものすごく暑かったのですが、おでこから汗をたらしながら食べました。おいしかったですよ。そこでウエイトレスが近づいてきて、僕に「あなたはもしかしてプレデターに出演している日本人俳優ですか?」と聞いてきました。彼女に返事をするときに汗を顔からぬぐっていました。これらのしぐさは日本人の方はよく行うしぐさかなと感じました。ちなみに、『タンポポ』は僕のお気に入りの映画のひとつです。どの言語で見ても面白いですが、この映画を観ると自分がとても日本人だと感じます。
Q:今後、どのような活動をしていきたいですか?
芸術的に満足のいくキャリアを築きたいと思っています。そして楽しんでいきたいと。これまでも、素晴らしい道のりでした。これ以上は望めないでしょう。そしてニューヨークの活気のある舞台コミュニティの一員でいられることも幸運です。夢を追い続けられるようこれからも持ち続けていきます。