人気作家・角田光代が「ばっちいけど美しい映画」と絶賛!PFFグランプリは『あんたの家』に決定!
30日、京橋の東京国立近代美術館フィルムセンターで行われていた「第32回ぴあフィルムフェスティバルPFFアワード」の表彰式が行われ、根岸吉太郎監督、橋口亮輔監督、作家の角田光代、プロデューサーの久保田修、そして映画『板尾創路の脱獄王』で監督デビューを果たした板尾創路ら審査員と、受賞者らが登壇。グランプリほか各賞が発表された。
今年で32回目を迎えた映画祭「ぴあフィルムフェスティバル」もいよいよクロージング。「PFFアワード」は、1977年から続く同映画祭のメインプログラムで、日本最大の自主製作映画のコンペティション。映画監督への登竜門として知られ、映画『悪人』の李相日監督や映画『ハッピーフライト』の矢口史靖ほか、日本映画界を支える監督を数多く輩出している。
今回、グランプリに選ばれたのは、山川公平監督の映画『あんたの家』。人工肛門をつけた夫と古いアパートで暮らすキミコが妄想にかられ、もうろうとした意識の中で夫の首に手をかける……という物語だ。老々介護、人工肛門と重いテーマながら、それを吹き飛ばすような大阪のオバちゃん、キミコのバイタリティーがおかしみを感じさせる作品となっている。審査員の根岸監督は「角田さんが、ばっちいんだけど、美しい映画だと言っていました。自主制作でも商業映画でも、どういう映画を撮ればいいのかと突きつけられている時代に、よくこの題材を選んだなと思います」とそのチャレンジ精神を評価。それを受けた山川監督は「企画の出発点を信じて脚本に書き、そこから離れないように監督に専念しました。そこを評価していただけて、うれしく思います」と喜びのコメントをしていた。
全体の講評を求められた板尾は、「僕が作ってもここにはのぼらないと思うんで、皆さんを尊敬します。僕は映画を一本作って、皆さんの仲間やと思っているので、どこかで一緒に仕事ができたらいいなと思います」とコメント。そして最後に、本映画祭ディレクターの荒木啓子氏が「皆さんが映画の歴史を作っていきます。ぜひ新しい世界を切り開いていってください!」と受賞者たちにエールを送り、映画祭は幕を閉じた。
■主な受賞結果は以下の通り
グランプリ:あんたの家(山川公平監督)
準グランプリ:くらげくん(片岡翔監督)
審査員特別賞:白昼のイカロス(阿部綾織 / 高橋那月 共同監督)
審査員特別賞:世界グッドモーニング!!(廣原暁監督)
審査員特別賞:TIGER(ジェームズ・マクフェイ監督)
企画賞:アンナと二階の部屋(田崎恵美監督)
エンタテインメント賞:アンナと二階の部屋(田崎恵美監督)
映画ファン賞:真っ赤な嘘(小林岳監督)