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『十三人の刺客』三池監督、稲垣吾郎はSMAPで特殊な立ち位置…でも重要な一員

第67回ヴェネチア国際映画祭

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『十三人の刺客』でヴェネチア入りした山田孝之、三池崇史、役所広司
『十三人の刺客』でヴェネチア入りした山田孝之、三池崇史、役所広司 - Photo:Harumi Nakayama

 第67回ヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門に『十三人の刺客』(9月25日公開)と、ミッドナイトスクリーニングとして『ゼブラーマン』と『ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲』の招待上映と計3作品が参加している三池崇史監督が現地時間9日、記者会見を行った。『十三人の刺客』からは役所広司山田孝之が現地入りしたが、『ゼブラーマン』の哀川翔は、10日から始まる世界ラリー選手権第10戦「ラリージャパン」に参戦するため、残念ながら欠席となった。

第67回ヴェネチア国際映画祭コンペ作品

 三池監督は過去、同映画祭に『美しい夜、残酷な朝』『IZO』『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』で参加しており、すっかりおなじみの顔。『戦場のメリークリスマス』などで知られるジェレミー・トーマスが、今回『十三人の刺客』のプロデューサーを務めるきっかけになったのも、ヴェネチアでの出会いからだったという。トーマスは「私は過去、日本人監督と何人か仕事をしていますが、三池監督にも興味があり、一度仕事をしてみたいと思っていました。そんなときに(エグゼクティブ・プロデューサーの)中沢敏明さんから連絡をいただき、私もこのプロジェクトに参加することになりました。今もう一つ、別の企画も考えているんですよ」とすっかり三池監督が気に入ったようだ。

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 映画『十三人の刺客』は、1963年に工藤栄一監督によって製作された傑作時代劇を今によみがえらせたもの。リメイクに着手したことについて三池監督は「自分にとっては父親の世代に生まれ、われわれの先輩方が作った未知の世界。その作品をわれわれの次の世代が受け止めて、作り上げるとどうなるか? それは、ヒットした小説やコミックを映画化することより、ごくごく自然な行為だと思う。何より日本映画界はすでに時代劇を作ること自体を忘れてしまっているので、京都で時代劇を作っていた人たちがいるうちに何かしようと思った。ある意味、挑戦です」と持論を展開した。

 また台湾の記者からは、SMAPの稲垣吾郎を暴君という悪役として起用した理由について質問が出た。三池監督は「きっとアイドルは悪役をやらないから意外だったという質問の意図だと思うんですけど、彼がふさわしいと思ったから選びました。稲垣さんは、SMAPの中でも特殊な存在で、グループの中でトップでもないし、ほかの活動を盛んにしているワケじゃない。でも重要な一員として存在している。その屈折した魅力が役にピッタリだと思ったし、稲垣さんの存在そのものが映画に生かされたと思う」と説明した。

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 また映画は、ラスト50分間にわたる壮絶なアクションシーンがウリとなっているが、三池監督は「正直、撮影は大変でした。映画用の馬もいないし、立ち回りができる役者も減っている。そんな中で俳優には、たくさん人を斬って、自分が斬られて死なないうちは家に帰れないという、これまでの撮影の常識をゼロにして立ち向かいました。13人の生命力が強い分、アクションシーンも長くなり、血のりの量も増えたと思う。その長さこそ、彼らが生きた証。たぶん、ここにいる役所さんや山田さんたちじゃなかったら、もっと短いシーンになっていたかも。役者それぞれの生命力が役にリンクし、彼らを殺すには時間がかかりました」と語り、三池監督流の誉め言葉で壇上に並んだ役所と山田の奮闘を讃えた。

 現地時間9日夜には、映画祭メーン劇場で『十三人の刺客』に続き、『ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲』を続けて上映するという、カルトファンにはたまらない三池ナイトが待っている。三池監督は、『ゼブラーマン』の重要なキーワードとなっている「白黒つけるぜ!」のセリフや、「白黒つかないから丸く収める」という日本人らしいオチがイタリア人にわかるのか、心配している部分もあるが、「3作品を上映してくれるヴェネチア映画祭に感謝すると同時、映画祭ディレクターのマルコ・ミュラーの個性に、逆にこっちが驚き、圧倒されています。でも似た作風の映画ではないので、その違いも含めて非常に楽しんでもらえると思う」と自信たっぷりに語った。(取材・文:中山治美)

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