ギャスパー・ノエ監督、日本を舞台にした理由を語る!日本はエネルギーに満ちあふれている!?
毎回衝撃的な作品を制作してきたギャスパー・ノエ監督が、約7年ぶりの新作となり、5月に公開された映画『エンター・ザ・ボイド』(英題: Enter the Void)について語ってくれた。本作は、日本を舞台にし、麻薬ディーラーの兄・オスカーとストリッパーの妹・リンダの悲しい運命を、刺激的でエロチックに描くファンタジー・ドラマ。ノエ監督は、インタビューで、日本を舞台にした理由についても言及した。
まず、日本について、「街にエネルギーがあふれている」と話してくれたノエ監督。もちろんそれも日本を舞台に選んだ一因なのだが、「全く違う言語を話すことで、主人公に孤立性が生まれ、ドラマ性を強調させることができると思ったからなんだ」と日本という舞台はストーリーを展開する上での重要なキーとなったことを明かしてくれた。本作は、ノエ監督独特の視点で描かれた東京の風景にも注目の作品に仕上がっている。
また本作には、魂の離脱、輪廻(りんね)転生についても描かれており、それにより映画が幻想的なものに仕上がっているが、ノエ監督は「夢や幻想があることで、さまざまな可能性が生まれて、すべてを不明確にさせているんだ」と意図的に幻想的な世界を作り上げたことを明かした。
インタビューの最後に、「善と悪、ポジティブやネガティブなエネルギーは信じない。もし意味のあるエネルギーがあるとすれば、それは性のエネルギーだ」と語ったノエ監督。本作の源ともいえる、独自の世界観に触れられた瞬間だった。(取材・文:細木信宏 Nobuhiro Hosoki)