浅野忠信が劇場のどこかからのぞいている? のぞかせる女を演じた美波も「快感を味わって」と発言!
16日、映画『乱暴と待機』の完成披露試写会がテアトル新宿で行われ、出演者の美波、小池栄子、山田孝之、そして冨永昌敬監督と原作者の本谷有希子が登壇し、作品の世界観そのままのようなおかしなトークを繰り広げた。
作品では上下のスウェットにおさげにメガネ姿で、のぞかせる女という強烈な役柄を演じた美波は、「本谷さんの原作、冨永監督の世界観を一緒に作ることができてうれしく思う。のぞく男の興奮とのぞかせる女の快感を、スクリーンを通して味わってください」と意外にもハマリ役だったことを笑顔で告白。ただ台本をもらったときは、「セリフや動きが滑稽(こっけい)で突拍子もないので、一線を越えるあぶない怖さがあるけれど、痛いものを演じてはいけないと思った」と、本谷ワールドに登場する奇妙な住人を演じるのに、相当に悩んだことを明かした。
また現在海外ロケ中の、のぞく男を演じた浅野忠信からはビデオレターが届き、「非常に変わった男の役をやってとても面白かった。迷う瞬間がたくさんあったが、監督と共演者と一緒に乗り越えられたので思い入れがある作品になった。今日はうかがえないが、劇場の屋根裏からのぞいてるかもしれないので楽しんでください」とにやりと笑って会場をどよめかせ、役柄そのものの存在感を示していた。
ただ役者たちのように、素直に作品をほめなかったのは原作者の本谷。関係者たちで完成作品を見たとき、終了後に本谷だけが黙り込んだままだったため、周囲が心配したことを明かし、「その後に飲み屋で冨永監督と大ゲンカをした」とさらに驚きの事実で監督を苦笑いさせた。ただし最後には「わたしも全然知らなかった『乱暴と待機』になっている。原作を知っている方がいらっしゃったら、冨永監督がこんな風に変えたんだ、こんな見方もあるんだなと楽しんでいただけたらと思います」と笑顔で締めた。
最後は冨永監督がマイクを取り、「全員に共通してるのは、みんな最低一回ずつみっともない格好をさらす。そこを面白がってほしい。一番みっともないのは浅野さん。(天井を指差し)上で聞いてると思うので、最初から最後までみっともないところを楽しんでもらえたらと思います」と、役者たちの新たな面を引き出した、奇妙な世界観の面白さをアピールしていた。
『乱暴と待機』は浅野忠信、美波、小池栄子、山田孝之という実力と人気を兼ね備えた俳優たちが共演し、愛憎交わる奇妙な人間ドラマを繰り広げる群像劇。のぞく男とのぞかれる女に訳あり夫婦の、濃密な四角関係の行方をテンポ良く描く。
映画『乱暴と待機』は10月9日よりテアトル新宿ほか全国公開