山崎ハコ、デビュー35周年にして本格的女優に挑戦!減量の末、若年性アルツハイマーという難役に
4時間38分の上映時間で話題になっている映画『ヘヴンズ ストーリー』だが、デビュー35周年の新人女優が出演していることが明らかになった。一世を風びした伝説的シンガーソングライターの山崎ハコだ。
1994年の映画『江戸川乱歩劇場 押繪と旅する男』で映画初出演を果たし、過去には舞台経験もある山崎だが、歌手デビュー35周年となる今年、本作で映画女優としての本格的なデビューを飾る。1975年に歌手デビューした山崎は、小柄な体からの圧倒的な歌唱力で歌手としてはもちろん、深夜ラジオのパーソナリティーとしても活躍。執筆活動や演劇活動などと並行しながら、現在でも全国のライブハウスを回るなど精力的に活動している伝説のシンガーだ。
若年性アルツハイマーを患った人形作家という難しい役どころに、山崎は「普段は、歌は声さえ出れば続けられるから体が動かなくっても、思いがあれば何とかなると思っているので、思いがなくなってしまうことを恐ろしいことだと思った」と自らの境遇と重ねながら熱演。その徹底的な役づくりは、36.5キロしかなかった体重を、35キロに落とすところまで及んだ。わずか1.5キロの減量に思えるが、元々痩身(そうしん)の山崎にとってはかなりの苦行で、共演者からは「もともとやせているのに、さらにやせて大丈夫かな、と思った」と心配されるほどだ。
その熱意は実を結び、早くも映画各賞の新人賞候補とうわさされるほどの激賞ぶり。忍成修吾や村上淳といった役者を本職とする共演陣も「ハコさんの無垢(むく)さに圧倒されてへこんだ」とコメントするなど、劇中で圧倒的な存在感を発揮している。
デビュー35周年という異例の新人女優だが、これまでの人生経験に裏打ちされた演技は本物の輝きを放っている。一回り以上年下の若手俳優たちと一緒に新人賞を獲得する日は近いかもしれない。
映画『ヘヴンズ ストーリー』は10月2日よりユーロスペース、10月9日より銀座シネパトスほか全国順次公開