アクションスター、ブルース・ウィリスに記者が「本当に格闘の仕方を知っているのかい?」に場内凍り付く
映画『ダイ・ハード』に出演してからアクションスターとしての名声を確立してきたブルース・ウィリスが、新作『Red / レッド』について映画『スター・トレック』のカール・アーバンと共に語った。
同作は、元CIAの腕利きスパイのフランク(ブルース・ウィリス)は、今は平穏な日々を過ごしていたが、ある日何者かに突然襲撃される。調査の結果、背後にCIAが絡んでいることを割り出したフランクは、かつての仲間たちを招集してその真相を暴いていくというストーリー。共演者には、モーガン・フリーマン、ジョン・マルコヴィッチ、ヘレン・ミレンらが参加している。カール・アーバンは、ブルース・ウィリスと敵対するウィリアム・クーパー役を演じている。
この映画の原作となるウォーレン・エリスとカリー・ハムナーが描いたグラフィック・ノベルには馴染みがあったかについて「この作品をプロデュースしたロレンツォ・ディボナヴェンチュラ(映画『ソルト』、『G.I.ジョー』)と話すまでは、グラフィック・ノベルにはあまり馴染みがなかったんだが、彼によって少し開花された気がするよ。原作のグラフィック・ノベルが素晴らしいのは、すでにメロドラマの要素が含まれているところだった。それと、映画化された原作は60ページ分しかないが、原作者のウォーレンは、新たな要素を加えてもよいという許可を出してくれたために、1つのジャンルに、また新たな要素(コミカルな部分)を加えることができた」と、これまで何度かグラフィック・ノベル原作の映画作品に出演してきたブルース・ウィリスは語った。
ブルース・ウィリスとの格闘シーンについて、カール・アーバンは「ブルースのようなスターと格闘シーンができたなんて幸運に思っている。彼は、ずっとアクション分野に携わってきたから、僕が知らないような動きも教えてくれた。例えば、闘っている最中でも、常にお互いがアイ・コンタクトをしながら、いつ相手が動くか把握していなければならない。そうしないと、大けがをするからだ。今回の格闘シーンは、緊張感のある激しいシーンばかりで、個人的に今までで一番良かった格闘シーンだと思っているよ」と語った。ブルース・ウィリスとの対戦がこの映画の魅力の1つになっている。
また、俳優としてのキャリアを通して何が楽になり、何が困難になっていったのかという質問に対して、ブルースは「これまで、いろいろな映画に出演してきた。小さな独立系映画から、そこそこ予算のあった作品、そして今回のような大作。自分が参加した作品群は、アクション映画か、ある一面に格闘かアクションが含まれている映画が多かった。それでも、良い奴が悪い奴をやっつけるシナリオだけは、ずっと前からアクション映画がやってきたことで、そのスタイルだけは変わらないと思っている。ただ、自分はそのサイド(良い奴)で、映画を続けることができていることに今は満足している。なぜなら、小さな作品でアクションをするには、いろいろハードルが多くて本当に難しいんだよ」とハリウッド事情を語った後、「今作で気に入っているのは、あらゆる要素がこの1つの映画に含まれていることだ。最初は、90分くらいの映画では不可能だと思ったが、彼ら(製作陣)はやってみせてくれたよ」と話すブルースは、この映画を誇りに思っているようだった。
最後に記者会見中に、あるアメリカ人の記者が「あなたは、本当に格闘の仕方を知っているのかい?」とブルースに質問して、一瞬緊張感が走ったが、ブルースは冷静に「格闘の仕方くらい分かっているよ。もし、ここに居る記者全員と闘わなければならなかったら、やっつける自信は自分にはあると思いたい」と落ち着いて返した言葉が印象に残った。
(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)