14歳で結婚するのが一番マシな選択!最悪は原理主義グループで自爆すること…イスラエル孤児の悲惨な選択肢
現地時間10月18日夜、第54回ロンドン映画祭で開催されたイギリス・プレミアに先立ちジュリアン・シュナーベル監督映画『ミラル/Miral』(原題)の会見が行われた。会見には、シュナーベル監督とともに主演のフリーダ・ピント、原作者で脚本も書いたルーラ・ジュブリアールが登場した。
本作は、紛争の続くイスラエルを舞台にした3人の女性の物語。孤児たちのための施設を創設したヒンド、つらい境遇から悲しい運命をたどるナディア、ナディアが残した子でヒンドの施設に行くことになるミラルの3人だ。ジュブリアールの自伝的要素が強い本作は、実際に多くの孤児を救ったヒンド・アル=フセインをモデルにしたヒンドはじめ、かなりの部分が実際に起こったことに基づいて作られている。
“マイ・ピープル”という言葉で自国の人々の現状を話すイスラエル生まれのジャーナリスト、ジュブリアールは「孤児となった女の子にとって、一番ましな選択が13、4歳で結婚すること、最悪は原理主義的なグループにかかわってスーサイド・ボンバーにされることよ。それが私がくぐりぬけてきたこと。良く見せようとも悪く見せようともしていない。母は自分をだめにしてしまって最後は自殺した。起こったことをそのまま書いているの」と訴える。ピントも「実在の人物を演じることはプレッシャーでもあったけど、すばらしい機会でもあると思ったわ」「私はインド出身だけど、違う名前がついた同じ食べ物だったり、文化的なショックはなかったわ。でも感情的には難民キャンプを訪れてショックを受けた。私はほんとうに恵まれていると思ったわ」と感じるところも多かったようだ。
本作進行中にはシュナーベル監督とジュブリアールのロマンスも報じられた。現在はパートナーでもある2人だが、監督は「(映画中でパレスチナかアラブかを越えてミラルの友人になる)リサは実際リサって言うんだ。彼女は今でもルーラの友人だよ。演じているのは実は僕の娘なんだ。それで守衛として出てくるのが娘のボーイフレンドなんだよ」と明かした。
「15分間のスタンディングオベーションも受けたけど、悪評もあった。どう思ったか率直なところを聞かせて欲しい」という監督からの求めに応じ、会見終了後3人のもとに歩み寄って感動を伝える記者もいた。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)