黒澤明監督の幻の脚本が発見!書き下ろしラジオドラマから幻の映画の準備稿まで
映画『七人の侍』『羅生門』など世界的に高い評価を受けている故黒澤明監督の初期脚本が新たに発見されたことが明らかになった。今年生誕100周年を迎えた黒澤監督の全集編さん作業の過程で発見されたもので、映画史的にも貴重な資料だ。
今回発見された脚本は「棺桶丸の人々」「明日を創る人々」と、ラジオドラマ「陽気な工場」の準備稿や本稿。浜野保樹・東京大教授が「大系 黒澤明」(全4巻・講談社)編さんの過程で確認した。とりわけ「棺桶丸の人々」は代表作の映画『羅生門』『生きる』と同時期に公開される予定の映画だったが、製作が中止された幻の作品だ。
「明日を創る人々」「陽気な工場」はそれにさかのぼる1940年代に手掛けられたものと見られており、前者は黒澤監督を含む共同監督の形で製作されたものの、監督の意向により公式の経歴からは削除されている。後者はラジオドラマだが、戦時中に放送されたということもあってあまり知られておらず、今回早稲田大学坪内博士記念演劇博物館で発見された。
今回発見されたは製作の裏側や作品をたどる上でも貴重な資料。世界的に有名な黒澤監督の作品だけに、埋もれていたことには驚く人も多いだろう。