イギリスの真の首相はこの人?切れ者マンデルソン、群衆の心をがっつりつかむ-第54回ロンドン映画祭
現地時間10月24日夜、第54回ロンドン映画祭でハンナ・ロスチャイルド監督映画『マンデルソン:ザ・リアル・PM?/Mandelson: The Real PM?』(原題)のワールド・プレミアが開催された。本作は労働党で黒幕的な役目を果たしてきたピーター・マンデルソンを追ったドキュメンタリー。PMはPrime Minister=首相の略で、「真の首相」というほどの意味。上映後にはロスチャイルド監督とマンデルソンが質疑応答した。
本作が撮影されたのは2009年から2010年にかけて。労働党が負けを喫した選挙戦を内側から見ることにもなり興味深い。プリンス・オブ・ダークネスというニックネームがあるマンデルソンが、対抗陣営のデヴィッド・キャメロンを「彼はほんとうにマミーズ・ボーイだから。その弱さがどう出るかだ」と評し、そのキャメロンと自分のニックネームのどちらが好きかと問われ「そりゃプリンス・オブ・ダークネスだよ。影があるほうがいい」と必ずしも良い意味でもないニックネームを意外に気に入っている様子を見せたりと、リラックスした顔ものぞかせている。
観客との質疑応答でも、本作の編集権があったらどうするかとの質問に「もっと歌と踊りのシーンを増やすよ」と会場を沸かせ、続編の予定について問うた質問者には「カムバックすることがあると思うかい? ほんとうにそう思っているのかい?」と半分本気の念押しで笑わせた。質問のいくつかには「そこは自伝に詳しく書いてあるよ」と自著の宣伝も忘れず、切れ者ぶりは相変わらずのようだ。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)