ルワンダの大虐殺事件で英雄と呼ばれた男性、故郷でテロ支援を疑われる
1994年にルワンダで起きた大虐殺事件をテーマにした映画『ホテル・ルワンダ』で、ドン・チードルが演じた主人公のモデルとなった男性が、ルワンダの司法当局から「テロ行為にかかわっている」と疑いをかけられている。
ポール・ルセサバギナさんは1994年、ルワンダの首都キガリで起きた、フツ族によるツチ族とその援護者への大虐殺の際、働いていたホテルにツチ族住民をかくまい、約1,200人の命を救った英雄として知られている。現在はアメリカに暮らしているが、そのポールさんに対し、ルワンダの司法当局は「彼がコンゴで活動する反政府グループへ資金援助をしている証拠がある」と発表したのだ。
現在ルワンダでは、ツチ族出身のカガメ大統領が政権を担っており、今年8月に行われた大統領選挙でも再選を狙って対立候補者やその支援者たちに圧力をかけていた。ポールさんは今回のテロ支援の疑いについて「根拠がない」と否定し、自分がルワンダのカガメ大統領に批判的であることから起きた言いがかりであると反論している。
現在のルワンダでは1994年の大虐殺の際に標的となったツチ族のエリート階級へ権力が集中しているため、ポールさんはたびたび、このままでは逆の虐殺事件も起こりうると警告を発してきた。映画の公開によって広く知られるようになったルワンダの大虐殺事件で「英雄」と呼ばれ、アメリカでは民間人へ与えられる最高勲章「自由勲章」も授与されたポールさんだが、故郷ルワンダではねたみを買ったり、特に政府を支持する人々から中傷を受けたりすることもあるという。