世界最高齢小学校入学者!84歳で小学校入学のケニア元戦士の実話-第54回ロンドン映画祭
現地時間10月26日夜、第54回ロンドン映画祭で開催されたイギリス・プレミアに先立ちジャスティン・チャドウィック監督映画『ザ・ファースト・グレーダー/The First Grader』(原題)の会見が行われた。会見には、チャドウィック監督、出演のオリヴァー・リトンド、ナオミ・ハリスが登場した。
本作は、84歳で小学校で学び始めたケニアのキマニ・マルゲの実話。ギネス・ブックでも最高齢小学校入学者としても認定されているマルゲをリトンドが、その教師をハリスが演じている。イギリスからの独立を掲げて戦かい、家族を失い、自らも拷問された若き日の回想シーンなど、ケニアとイギリスの政治的な背景も描かれている。
マルゲのクラスメートの子どもをはじめ、演技の経験もない現地の人を採用していったというチャドウィック監督は「この映画では、参加したい人は全部歓迎して含めていった。体に障害のある女の子、アグネスというんだけど、彼女のために脚本では男の子だったものを変えたんだ」「拡大家族が機能している様子はすごい。父母が国外で働いている子の面倒を叔母がみるとか、皆が世話しあう。撮影中でも、オリヴァーがセットに入っていくと、自然に敬って、大丈夫かと気を配るんだ」と感動したという。リトンドも「アグネスは実際に障害があるけれども、本人もそれを忘れるくらいなんだ。特別視せずに子どもの1人として仲間に入れる。西洋ではアフリカの拡大家族をネガティブに考える傾向があるけれど、でも、それはアフリカで育まれてきたことだ。祖父母から孫まで世話しあう。近代化が進んでも忘れてはならないアフリカの文化だと思う」と訴える。
教育がテーマにもなっている本作、思い出に残る教師は、ハリスが「マードック先生という素晴らしい先生のおかげで、大学に進もうと思ったわ」、ジャーナリストでもあるリトンドも「私もこの映画の子どもたちと同じように何マイルも歩いて学校に通った。自分の子ども時代を思い出すよ。海外に出て勉強を続けようと思ったのは、高校時代のネラ先生のおかげだよ」と答えたが、チャドウィック監督は「学校には耐えられなかったよ」と学校時代の思い出はそれぞれのようだ。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)