性的なテーマで修道女を描きローマで上映するも拍手喝采!井上都紀監督、感無量!
第5回ローマ国際映画祭の日本映画を特集するフォーカス部門で、井上都紀監督『不惑のアダージョ』が上映され、約450席が満席となる人気ぶりとなった。
井上監督は短篇『大地を叩く女』がゆうばり国際ファンタスティック映画祭2008でグランプリを受賞し、その時に得た次回作支援金200万円と貯金100万円の計300万円で初の長編映画『不惑のアダージョ』を製作。神職に身を捧げてきた修道女が更年期障害を迎え、性と老いに向き合っていく人間ドラマだ。
同作品は2009年のゆうばり国際ファンタスティック映画祭でのワールドプレミア上映を皮切りに、本年度ロッテルダム国際映画祭、韓国・提川国際音楽映画祭、なら国際映画祭、アジアフォーカス福岡国際映画祭と国内外の映画祭で上映。奈良や韓国の映画祭では、禁欲的な生活を送っている修道女と、独身ながら自主映画製作に身を捧げている井上監督を照らし合わせて観賞する女性観客たちもおり、涙ながらに「あなたも(女性として)まだまだ大丈夫。頑張りなさい」と励ましを受けたという。
そしてついに、カトリックの総本山ヴァチカン市国のお膝元であるローマまでやって来た同作品。井上監督は、作品イメージに合わせて白のシルクのシャツと黒のパンツというシックなファッションで華やかなレッドカーペットに登場したが、笑顔は引きつりまくり。井上監督は「まさかローマで上映される日が来ようとは。性的なテーマで修道女を描いているので、カトリック教徒に怒られないかと思うと……胃が痛い」と渋い表情を浮かべていた。
しかし上映が終わってみれば、拍手喝采の大盛況。観客たちが次々と井上監督の元に近ずき、「美しい映画だったわ」「ワンダフル!」と称賛の言葉を述べ、井上監督も感激しきり。その一方で、「これからは、テーマに選ぶ題材にも責任を持たなければ」と次回作への課題を見つけたようだ。
同作品の劇場公開は未定だが、映画祭での高評価が後押ししてくれることを期待したい。