堤真一、皆既日食で奇跡的体験!
先日DVDがリリースされた本格医療映画『孤高のメス』でスゴ腕外科医を演じた堤真一が、共演した夏川結衣らとのエピソードのほか、今だから話せる撮影時のウラ話や、現場で体験した奇跡のような出来事について語った。
大鐘稔彦のベストセラー小説を映画化した本作は、日本初の脳死肝移植に挑む外科医・当麻鉄彦(堤)の姿を、看護師・浪子(夏川)の視点で描く感動の医療ヒューマンドラマ。劇中の手術シーンをリアルに再現するため、撮影前にキャストたちと実際の手術現場を見学したという堤は、「先生方は想像以上の手さばきで、チームプレーとしても素晴らしかった。とても美しいものを見ているような感覚でした」と当時を振り返る。「今だから言っちゃいますけど、途中で気分が悪くなって退席した方がいた一方で、夏川さんの場合、見学前は一番不安そうだったのに、いざ手術が始まったら『スッゴイ! スッゴイ!』って最後までしっかり見学していました」と夏川の意外な一面をちゃめっ気たっぷりに明かした。
さらに堤は、撮影現場で奇跡的な体験をしたことを告白。それは、余貴美子ふんする脳死患者の母親が、当麻と浪子に「息子の臓器で移植が必要な人を助けてあげてほしい」と申し出る重要なシーンを撮影したときの出来事。ロケ場所となったのは岬に建つ学校の屋上で、当初は青い空と海を背景に撮影する予定だったのだが、なんと、日本で46年ぶりに観察された皆既日食と撮影が重なってしまったのだ。「急に暗くなって気温が下がったと思ったら、海から霧が上がってきて、周囲が真っ白になってしまったんです。驚きましたけど、まるで雲の中にいるような画(え)になったんですよ!」と悪天候が功を奏したことを打ち明ける堤。そして、「霧のせいで僕と夏川さんの髪はベタッとして、顔に張り付いてしまいましたけど……(笑)」とユーモアを交えつつ現場での様子を語る。そして、「今まで見たことのない神秘的な光景の中、誰もが演技に集中することができたんです。まさに奇跡のような自然の贈り物でした」と感慨深げに語った。その言葉通り、屋上のシーンをよく観ると、堤たちの周辺が白いモヤのような霧で覆われ、実に幻想的な効果をもたらしているのがわかるはずだ。
臓器移植、医療ミス、医師不足など、現代医療が抱える問題を浮き彫りにしながら、患者の命を救いたいと願う当麻の信念が周囲を動かしていく様子を切々と描いた本作。最後に堤は、「何かを感じたり考えたりすることができる作品。医療ものだから難しいなんて思わずに観てほしい」とこれから観る人に熱いメッセージを送った。自然が作り上げた最高の舞台演出や、現役医療チームから指導を受けて臨んだ堤たちの熱演は必見だ。
映画『孤高のメス』DVDは東映ビデオより発売(税込み:4,935円)、レンタル中