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ドイツの巨匠ヴェルナー・ヘルツォークが3D作品について語る!

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ヴェルナー・ヘルツォーク監督
ヴェルナー・ヘルツォーク監督

 映画『フィツカラルド』や『カスパー・ハウザーの謎』で、カンヌ国際映画祭の監督賞や審査員特別グランプリを受賞し、近年では映画『バッド・ルーテナント』でメガホンを取ったドイツの巨匠ヴェルナー・ヘルツォークが、初めて描いた3D作品『ケイヴ・オブ・フォゴットゥン・ドリームス(原題) / Cave of Forgotten Dreams』について語った。

ヴェルナー・ヘルツォーク監督映画『バッド・ルーテナント』場面写真

 同作は、1994年に南フランスのショーヴェ洞窟(どうくつ)で発見された人類最古の壁画(3万2千年前の洞窟壁画)への特別撮影許可を得た巨匠ヴェルナー・ヘルツォークが、学者らと共に洞窟の中の歴史を3D撮影でひもといていく。その不思議な洞窟内には、先人の魂があった……。

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 まず、どうやってショーヴェ洞窟の撮影許可を得たのだろうか。「これまで何度かフランスのフィルムメイカーたちも、この洞窟の撮影のアプローチをしたらしいんだ。だがわたしがラッキーだったのは、ちょうど元大統領フランソワ・ミッテランの甥フレデリック・ミッテランが文化大臣になったばかりのころ、彼に会ってこの洞窟を描いた作品を製作したいという話をする前に、彼のほうから僕の作品にどれだけ影響を受けたかを10分くらいわたしに話してきたんだ(笑)。なんだが少し恥ずかしい気持ちでその話を聞いていたが、彼が話を終えたときに、今が機会だと思って、僕が子どものころに読んだ洞窟壁画の本の話をしたり、この映画の製作の熱い思いを伝えたんだよ」と文化大臣から直接許可を得たことを語った。ちなみに、今回ヴェルナー監督はフランス政府の雇用者として、フランスにこの映画を捧げるつもりで、わずか1ユーロ(監督料)で働いたそうだ。

 洞窟の中の撮影について「春と秋にそれぞれ2、3週間だけ洞窟内の撮影を許可されたが、洞窟内に含まれている二酸化炭素とラドン(ラジウムから生まれる気体)の量が多く、1日数時間しか撮影できなかった。それに、洞窟内に設定された金属状の歩道は狭く、しかもこの暗がりの中でその歩道からしか撮影できず、非常に困難な撮影だったんだ。さらに、そんな状況だからカメラに問題が生じて修理しようにも、洞窟の外まで戻って直すわけにはいかず、結局その場で修理することが多かったよ」と苦労した撮影だったことを明かした。

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 洞窟内での身体的体験について「まるで戦場ジャーナリストのように機敏に動いて、ものすごい緊張感の中で撮影していた気がする。実際に撮影する前に、一度だけ洞窟内を観察させてもらったときは、これほど洞窟の中が美しいとは思わなかった。フォーメーションを組んだような馬の壁画や、ライオンの壁画はまるでわたしを見つめている感じがして、洞窟を出たあとも、しばらくその感覚が離れることはなかったくらいだ。この洞窟は、一般の人たちやツーリストたちは入ることを許可されていないので、その臨場感をこの映画で味わってほしいと思っている」と述べた。

 映画は、我々を先人たちの観点や魂に誘(いざな)ってくれるような興味深い作品で、一つの歴史を勉強する上でも貴重な映画になるかもしれない。

 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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